Skip to content Skip to navigation

Contemporary Thought and Anthropology

人間科学とは何か ―人間と社会―

 基礎人間科学講座では、「現代人間学」(科学哲学、現代思想、比較文明学)「人類学」(人類学、科学技術と文化)の2つの研究グループがある。理論性の強い「現代人間学」、経験主義的度合いの強い「人類学」という違いはあるが、いずれも「人間とは何か」という問いを追いかけている。

 20世紀の歴史は、広く丸い地球の上に中心点がないことを教えてくれた。 つまり支配的・主導的な文化や地域を特定化できないのである。ヨーロッパ世界が歴史の中心であった時代が終了したが、ヨーロッパにとって代わろうとする試みも成功していない。これから世界は、それぞれの地域や文化や民族が同じ時代の中で交流し、せめぎあい差異化しながら、複雑で流動的な構造化を遂げていくだろう。このような状況で抗争の武力化を阻止し、21世紀の文明を作っていくためには、人類学的なフィールド研究による現実的な共同体との関わりを実践することが重要になる。「人類学」は、こうした課題に直面しつつ、 同時に人間の社会を構成する理論を根底から探ることをおこなっている。
 また、20世紀におけるこうした状況は、人間と科学、人間とその精神や身体、人間と文明や歴史との関係についても多くの問いを投げかけている。科学はその技術の力とともに、われわれの生活する状況をおおきく変貌させてきた。科学とは何かという問いは、20世紀を超えた時代を生きるためにも不可欠である。また、人間の精神的な生、身体的な生は、人間に対する多くの知ととも にとらえ方が変貌している。現代的な精神や身体は、精神分析や生命科学もふ くめた現在における多様な知を踏まえることからしか考察しえない。さらに、人間と文明や歴史との関係も、グローバリゼーションが進行した現在において、過去のモデルでは把握しきれない事態を提示している。「現代人間学」は、このような主題を、実践を見据えた理論の方向から研究する。