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Ethnography Labセミナーシリーズ 第一回 Anthropocene Salon: 気候変動をめぐる情勢の緊迫化と環境人文学の可能性

Ethnography Labセミナーシリーズ

 

第一回 Anthropocene Salon:
気候変動をめぐる情勢の緊迫化と環境人文学の可能性

 

日時: 2019年1月16日(水) 13:30~17:00

場所: 大阪大学大学院人間科学研究科(吹田キャンパス)
    北館2階 ラーニングコモンズ
地図: http://www.hus.osaka-u.ac.jp/ja/access.html

 

スケジュール:

13:30〜 挨拶・趣旨説明
13:45〜 参加者の自己紹介
14:00〜 気候変動をめぐる最近の情勢:10月公開のIPCC報告書とその余波を中心に
14:20〜 地球システム科学の知識と政治 Steffen et al. 2018*を題材にディスカッション
14:40〜 休憩
15:00〜 Anthropoceneの環境人文学をめぐって(自由なディスカッション)
  • 気候変動への人文社会科学の応答可能性について
  • 持続可能な社会への移行のために人文社会科学に何ができるのか?
16:00 終了

 

今年10月に公表されたIPCC(国連・気候変動に関する政府間パネル)の報告書は、気候変動による気温上昇を1.5度以下に抑えることが、気候変動による大規模な災害を避けるために不可欠であると指摘しています。そのためには2050年までに二酸化炭素の排出をゼロにまで急減させる必要があると報告書は論じています。この報告書は、大規模な気候災害か根本的な社会変革の二者択一を社会に迫る、いわば科学からの最後通牒というべきものです。この危機に対して、人文社会科学は何ができるのでしょうか?第一回のAnthropocene Salonでは、この報告書の背後にある科学的主張をまとめた科学論文、"Trajectories of the Earth System in the Anthropocene.” (Steffen et al. 2018)を取り上げながら、人新世の課題に応える人文社会科学のあり方を考えます。

 

添付した以下の論文を取り上げますので、お時間ありましたら、お目通しいただけると幸いです。
*Steffen, Will et al. 2018. "Trajectories of the Earth System in the Anthropocene."  Proceedings of the National Academy of Sciences 115:8252-8259.
http://www.pnas.org/content/115/33/8252  より無料ダウンロード可(open access)

 

Anthropocene Salonとは?

大規模な地球環境の変化とそれに対する人文社会科学の役割を考察するために、大阪大学・人間科学研究科のEthnography Labは、Anthropocene Salonという自由な議論の場を企画しました。これは、人文学、社会科学、自然科学、工学などの多様な立場の人々が、地球規模の環境変動が我々の社会と未来にもたらす変化について自由に論じる場を目指しています。

気候変動、海洋の酸性化、生物種の大量絶滅など、産業化と経済成長にともなう地球環境の変化は、現在急速な勢いで進んでいます。環境科学者たちは、これらの変化は地球を根本的に作り変えつつあると警告してきました。現在審議中の新たな地質年代であるAnthropocene (人新世・人類世)は、この全面的な環境変化を象徴するキーワードです。

これによれば、人間の文明を育んだ完新世の地球システムは気候変動と大量絶滅などによって完全に変化し、現在Anthropoceneのシステムへと移行しつつあるといわれます。そこでは、人間の生存を支える降雨のパターンや気温、四季、生態系などは大きく変化し、社会と経済に破局的な影響を与える可能性があるとされます。人間が地球環境を作り変えていくという現在進行中の変化は、人間と自然の関係を根本的に変化させるとともに、自然と文化の分離を前提にした西洋的な価値や、それに基づく近代社会の文化、制度にも大きなインパクトを与えつつあります。そのため、Anthropoceneの問題に対しては、自然科学だけでなく、人文社会科学の側からの取り組みも求められています。Anthropocene Salonでは、こうした課題に応えるために、気候から文化に至る多様な問いを学際的な観点から自由に論じていきます。

(文責:森田敦郎、モハーチ・ゲルゲイ、鈴木和歌奈)