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大阪大学人間科学研究科/人間科学科
Graduate School / School of Human Sciences
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人間行動学講座

 行動学系には、心理学的観点から人間行動を解明する人間行動学講座と、主として人の持つ生物としての特性を研究しようとする行動生態学講座の二つがある。
  人間行動学講座では、多様な学問領域における研究成果・手法を総合的に活用することで、さまざまな心理的・社会的状況下での人間行動の背後にある法則を解明するとともに、現実場面で生じている人間の行動に関連した諸問題の解決を目指すことを目標としている。
  人間行動学講座には、基礎心理学、適応認知行動学、対人社会心理学、臨床死生学・老年行動学、環境心理学、応用行動学・ボランティア行動学の研究分野がある。研究テーマとしては、「人間の視覚情報処理や動機づけ」、「注意・技能等の知覚・認知過程に関する基礎的・応用的研究」、「対人相互作用や社会的場面における人間行動の研究」、「環境と人間行動の関係に関する基礎的・応用的研究」、「加齢に伴う人の心と行動に関する研究」、「ホスピス緩和ケア、精神的援助、悲嘆に関する研究」、「事故防止やヒューマンエラーに関する研究」などがある。各研究分野の研究は主として心理学の諸領域に基づくものであるが、実際に展開される研究と教育はその基礎となっている領域の枠組みにとどまるものではない。隣接する研究領域の知見を積極的に取り入れつつ、これまでにない新たな知見・視座を提起し、それに基づいて現代社会の諸問題に関与していく姿勢、これこそが本講座の特徴である。また、この幅広い研究活動に裏打ちされた本講座の教育体制によって、研究者としての高い能力が養成されると同時に、社会のあらゆる場面において幅広い視野を持ち、既成概念にとらわれることなく柔軟に問題解決にとりくむ姿勢と能力が養成される。

基礎心理学

教授……………森川 和則 MORIKAWA Kazunori
教授(兼) ………赤井 誠生 AKAI Seiki  (大学教育実践センター)

ホームページ … http://kiso.hus.osaka-u.ac.jp/

研究課題
 視知覚の心理物理学的研究と認知の実験心理学的研究
 人間の動機づけ(特に内発的動機づけ)の実験心理学的研究

基礎心理学

 基礎心理学研究分野では、人間の情報処理と行動を実験で分析し、その機構と一般法則を解明・実証することを目標とする。科学的客観性・厳密性・再現可能性を備え洗練された方法論は本研究分野の特色である。
 具体的には、知覚心理学と認知心理学の研究を行っている。錯視、運動知覚、両眼立体視、顔の知覚、物体認識、視覚芸術の心理学、心的イメージなどの視覚情報処理の他、記憶、学習、思考、判断などの高次の認知過程も対象としている。学生は、これら知覚・認知の領域の中から、各自の興味と教員の助言により様々な研究テーマを設定し、独創的な研究を行っている。この分野はまたコンピュータ科学や人工知能とも関連し、理科系と文科系の架け橋となりうる。
 さらに、心理学の諸領域を横断する基礎的テーマである動機づけに関する研究も行っている。特に、自発的に楽しく行う行動(遊びや趣味等)を支える内発的動機づけを研究の対象とし、コンピュータ・ゲームなどを刺激とする実験心理学的手法を用いることによって、知覚、認知レベルからの内発的動機づけ理論を展開しつつある。
 大学院生は興味のある研究テーマを追求しつつ、さらにプロの研究者となるため に必要な技能(様々な研究手法、問題設定の方法、論理構成力、プレゼンテーションの作成技術、英語論文の執筆能力、日本語・英語での口頭発表の技術)を習得する。

適応認知行動学

教授……………三浦 利章 MIURA Toshiaki
准教授…………篠原 一光 SHINOHARA Kazumitsu

ホームページ … http://sanko4.hus.osaka-u.ac.jp/

研究課題
 行動場面での注意と視覚的認知・技能についての基礎・応用的研究
 日常場面・産業交通場面での行動についての実験心理学的研究

適応認知行動学

 現代社会は非常に高度で複雑化した社会的・技術的システムで成り立っているが、現代社会に生きる我々はそのメリットを享受する一方でさまざまな問題に直面している。これらの問題の多くは、人間の持つ行動特性と現代社会を構成するシステムの適合性に関係している。適応認知行動学研究分野ではこの現代的問題に対して、認知心理学を中心とした心理学の知見や方法論を活用しての接近を行っている。具体的には、自動車運転者の注意プロセスの分析、情報機器の使いやすさや使用に伴って生じるメンタルワークロードの測定、指差呼称などの情報確認方法の研究、技能に伴う行動的・心理的変化の分析といったテーマについて研究を行ってきた。また、問題解決に取り組む中で心理学の基礎的概念や理論に対して寄与する知見を得るべく、認知心理学の基礎的研究も平行して実施している。本研究分野での教育研究目標は、心理学的観点からアプローチすべき現代的問題への気づきと問題解決に向けた研究の立案・実施のための実践的能力、単なる問題解決にとどまらず、新たな心理学的知見の発見を可能にする研究能力の獲得である。

対人社会心理学

教授……………大坊 郁夫 DAIBO Ikuo 
教授……………釘原 直樹 KUGIHARA Naoki 

ホームページ … http://syasin.hus.osaka-u.ac.jp/

研究課題
 社会的スキルのトレーニング、対人コミュニケーションの活性化、対人魅力
 危機事態の集団行動、リスク対応行動、集団のパフォーマンス

対人社会心理学

 本研究分野では、社会的場面における人間の行動を集団・文化の問題との関連で多面的に研究している。対人関係に関しては、主として対人コミュニケーション、対人的親密さという観点からアプローチしている。対人関係は、対人認知や言語的・非言語的コミュニケーションを通して実現され、協調的な社会を築くことになる。対人魅力や非言語的コミュニケーション(NVC)の規則性を明らかにするためには観察法、調査法や実験的研究法によるアプローチが必要である。
 コミュニケーションの記号化・解読は、現実の対人関係を円滑に運営し、われわれの生活の質を高めることにつながる。この観点から、対人関係に応じたコミュニケーションの適切性、社会的スキル向上のプログラムの開発・運用を重要なテーマとしている。
 集団のダイナミックスについては、主に、危機状況における集団行動(避難行動、リスクへの対応行動)に関する実験的アプローチ、さらには、集団のパフォーマンスに関する研究(他社の存在による影響−手抜き、過度の緊張等)などをテーマとしている。
 危機状況における避難行動を解明するために第1にコンピュータを利用した実験室実験、第2に暴動やファッションのような群集の斉一性の成立過程についての実験的検討、第3に航空機事故に巻き込まれた乗客に対する調査なども行っている。さらに社会的手抜きや、集団成員の緊張がホームアドバンテージ等のパフォーマンスに与える効果についての研究も進めている。

臨床死生学・老年行動学

教授……………佐藤 眞一 SATO Shinichi 
准教授…………権藤 恭之 GONDO Yasuyuki 

ホームページ … http://rinro.hus.osaka-u.ac.jp/

研究課題
 老年行動学:高齢期の社会参加と適応、認知の加齢変化と異常、超高齢者・百寿者、介護、地域コミュニティとソーシャルサポート
 臨床死生学:終末期の医療とケア、サイコオンコロジー、終の看取り

 臨床死生学・老年行動学分野は、人生において避けることができない重要なテーマである「老い(aging)」および「死(death)」の家庭における人間の心理的な発達や成長に注目した研究を行っている。 特に「生活の質(Quality of Life)」のの向上という観点を重視し、基礎研究としては、心理的発達や成長のメカニズムの解明や評価方法の開発、応用研究としては介入的な手法を用いた研究を行っている。なお、これらのテーマは様々な方法論、学問領域からアプローチできるが、本研究分野では、主に心理学・行動学で用いられる、科学的な方法論に基づいて研究を行っている。また、これらの研究手法を基に、医学、歯学、看護学、社会福祉学など関連諸領域の研究者や実践家とも積極的に連携し、学際的な研究アプローチをとっていることも本研究分野の特徴ともいえる。
 これまでおよび現在進行中の研究のキーワードをあげると、「サクセスフル・エイジング」・「高齢者の社会的欲求」・「高齢者の精神的健康」・「高齢者の心理的発達」・「高齢者の認知機能」・「加齢に対する生活文脈の影響」・「高齢者のケア」・「地域コミュニティと高齢者支援」・「高齢者の孤立と孤独」・「超高齢者と百寿者」・「テクノロジーの応用」・「死生観」・「終末期の心理的適応」・「終末期のQOL」・「死別」・「悲嘆」などである。

脳知能心理学・環境心理学

教授(兼)………苧阪 満里子 OSAKA Mariko (先端人間科学講座) 1)
准教授…………青野 正二 AONO Shoji 2)

ホームページ … http://eco.hus.osaka-u.ac.jp/

研究課題
 1) ワーキングメモリとその脳内機能についての認知心理学的研究「心と脳の科学」

環境心理学

 人間の認知過程に注目して、認知心理学、脳知科学、脳科学の研究アプローチから解明することを、教育・研究の目標としている。特に、人間の認知の基盤をなす記憶システムであるワーキングメモリ(working memory)について検討している。ワーキングメモリは目標を達成するために情報を短期的に活性化して行動をみちびく機能を持ち、私たちの行動を最適に制御する高次認知脳の基礎をささえている。なかでも、中央実行系(Central Executive)が、注意の制御系であり、行動をみちびく統御システムである。本研究分野では、中央実行系の評価テストであるリーディングスパンテスト(reading span test: RST)を用いて、個人差の問題を捉えている。

 2) 人間行動に及ぼす環境要因についての心理学的研究及びそれに基づく環境デザイン

 環境とは、人間の周囲にあって意識や行動の面でそれらと相互作用を及ぼしあうものと定義されます。ここでいう「環境」には、自然環境や物理的な環境に加え、社会的、文化的な環境なども含まれています。このような相互作用を取り扱う学問領域「環境心理学」では、心理学的観点から、さまざまな環境の評価や環境の変化に応じた人間の行動特性に関する研究を行っています。例えば、感覚公害としての騒音の評価に関する研究、物の購入から消費・廃棄に至る過程での意識と行動の関係、生活環境の印象評価における視覚・聴覚の相互作用に関する研究などがあります。そのアプローチとして、現実の環境に近似した実験室空間において、環境条件を精密に制御した実験を行っています。さらに、必要に応じて社会調査などを実施し、実際の現場での反応との比較検討も行っています。そして、最終的には、それらの知見が環境問題の解決の一助となることを目標としています。

応用行動学・ボランティア行動学

教授……………臼井 伸之介 USUI Shinnosuke 1)
教授(兼) ………渥美 公秀 ATSUMI Tomohide (先端人間科学講座)2)
准教授(兼) ……太刀掛 俊之 TACHIKAKE Toshiyuki (教育・情報室)

ホームページ … http://app.hus.osaka-u.ac.jp/

研究課題

 1) 日常・産業場面でのヒューマンエラー・リスク管理に関する心理学的研究

応用行動学

 現代社会では、事故・災害の発生、環境・健康にかかる問題など、日常生活や社会生活上に種々のリスクが存在するが、ヒューマンエラーの防止などリスクの効果的な管理手法の確立は今日の重要な課題となっている。
 本研究分野は、日常生活や産業・交通場面における人間行動の安全性、快適性、操作性向上に関わる諸問題を、実験、調査を通して心理学的に解明し、得られた結果を広く社会に還元する研究を行っている。
 近年の具体的研究テーマとして、ヒューマンエラー・違反の発生メカニズム、看護業務のリスクマネジメント、建設現場の事故防止、ドライバーのリスク知覚とリスクテイキング、機器類の操作性向上、空間認知エラーのメカニズムなどがある。特に、安全に関わる研究では、人間はミスをおかす存在であるとの前提のもとに、その発生要因を個人のレベルにとどまらず、個人間レベル、集団組織レベル、生活環境レベル、社会文化レベルなど、より社会的なレベルを含めた幅広い視野から捉えようとしている。本研究分野では現代社会の様々な問題を扱うため、研究は常に現場との連携を求めるとともに、現場を見る眼の養成を重視する。

 2) 災害ボランティアに関するグループ・ダイナミックス

ボランティア行動学

 「良い理論ほど実践的なものはない」をモットーとするグループ・ダイナミックスを基礎としながら、災害ボランティアについて、理論的かつ実践的に研究する。災害ボランティアは、災害時の救急救命から復旧、復興、そして防災にいたるまでのいわゆる災害サイクルの全般について、地域社会の崩壊を回避する活動や、地域に生きる人々の生活に何らかの障害が認められる場面を改善する活動を行う。ボランティア行動学では、災害前後の地域社会とそこに生きる人々のベターメントを目指したアクションリサーチを展開する。具体的には、災害ボランティア・災害NPOに関する研究、災害から復興する集落での長期的な現場研究などを中心として、幅広く様々な問題に取り組む。被災地としては、農山村や大都市など、様々なところに出かけていく。なお、コミュニケーションデザイン・センターと協働し、研究成果をその分野に関心を持たない人々にいかにして伝えていくかということを検討し、デザインしていく。


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