研究科長 / 学部長挨拶

臼井研究科長/学部長の写真  日本の大学における人間科学の歩みは、1972年の大阪大学人間科学部の設置から始まりました。私たちは、人間科学という新しい学問分野を日本で最初に立ち上げたパイオニアです。

 創立以来、文系・理系という従来の枠組みを超えた文理融合の視点を常に大切にし、また「学際性」、「実践性」、「国際性」という3つの理念を重要な柱としながら、心理学、生物学、社会学、人間学、人類学、教育学などのさまざまな学問分野の視点や研究方法を統合し、新たな学問領域を開拓するチャレンジを続けてきました。人間という存在そのもの、そして社会のありように絶えず深い関心をもち、学問的探求を粘り強く展開すると共に、現代社会が直面する諸問題の解決に資する専門的研究者および21世紀の世界に貢献する個性豊かな人材を育成することが、私たちに課せられた重要な社会的ミッションと考えています。この人間科学部の新たな試みは、時代のニーズに合致していたこともあり、創立から約50年を経て現在に至るまで、大きな発展をとげてきました。

 一方で、グローバル化の時代といわれる現代では、社会と文化も大きく変動しています。そこで本学部は、3つの理念をより一層展開するため、2016年4月に大規模な改組を行いました。従来の行動学科目、社会学科目、教育学科目及び学部英語コース(人間科学コース)に加えて、共生学科目を新設しました。また、附属の未来共創センターも新たに設置しました。この新センターは、大学と社会とをつなぐ結節点になるべきものです。現実社会はさまざまな問題を抱えますが、その改善や解決のために、多様な専門領域で深められてきた専門知から学際的な統合知を構築し、国内外の多様なアクターと協働して、共創知に鍛え上げるこの過程を「知のキュレーション」と呼びます。改組による新たな体制で私たちが目指しているのは、人類が直面している諸課題の解決方法を模索する「人間科学版・知のキュレーター」の養成です。そしてこの「知のキュレーション」を教育、研究、社会貢献に活かそうとしているのです。

 皆さんが、この人間科学研究科・人間科学部の新たな挑戦に積極的に参加してくださることを切に願っています。

2020年4月
大阪大学大学院人間科学研究科長/人間科学部長
臼井 伸之介