「誰かと誰かが繋がるような、そういうきっかけになればいいなって思ったりしてるんです」

共和メディカルグループ

みんなの保健室


写真 1 スタッフの方々のお写真

 

報告者:人間科学研究科博士後期課程 冨安皓行

 

 2021年2月22日、共和メディカルグループによる「みんなの保健室」を見学しました。共和メディカルグループは大阪大学と連携したプロジェクト「グローバルビレッジ津雲台」にて薬局、食堂、訪問看護・訪問リハビリ等のサービス事業所、さまざまな人の居場所づくりのための場所を運営していらっしゃいます。

 「みんなの保健室」は年齢・性別問わず誰でもふらっと立ち寄れ、健康のことを相談できる居場所をコンセプトとし、2021年2月10日にオープンしました。「みんなの保健室」にお邪魔するとスタッフの方々がお迎えしてくださいました。

 「みんなの保健室」の特徴は、医学的・専門的知識を持っているスタッフが在籍し医学的な相談に乗ってくれる点にあります。当日いらっしゃったスタッフの方の一人は看護師資格、もう一人の方は理学療法士の資格を持っていらっしゃるということです。


写真 2 入口の手作り看板。「みんなの保健室」を知ってもらうために。

 お話を伺っている途中、小さな男の子がスタッフのお二人に向かい窓の外から手を振りました。お二人はその男の子に笑顔で手を振って返しました。私がその男の子について伺うと、お二人はその男の子のことをとりわけ知っているわけではないとのこと。「みんなの保健室」は2021年2月に始まったばかりで、現在の課題として活動を認知してもらうことが必要だといいます。

 まずはこの場所についてみなさんに知ってもらえて、活気づくことが一番かなと思います。ふらっと寄ってもらえるとか、自分がしんどいときとか困った時とかに相談ができる。きっと今の時代どこに相談したらいいのかとか、一人で誰ともしゃべらんかったとかそういうのって多いんかなって思ってて。相談しにこられるようになるまで、話しやすいだれだれさんがいてるとか、そういうのがだんだん信頼関係に繋がると思っていて。そういう人が増えてきたら、その人が違う人に話したりとかして人って繋がっていくのかなって。誰かと誰かが繋がるような、そういうきっかけになればいいなって思ったりしてるんです。

 男の子への手の振り返し。些細なことのようですが、その小さなことの繰り返しによって少しずつ活動を知ってもらおうと努力するスタッフの方々の姿が印象的でした。

 また「みんなの保健室」は誰かと誰かの繋がりを創出するための場だといいます。スタッフの方々が人と人との繋がりを強く意識されるようになったきっかけはいったい何なのでしょうか。あるスタッフの方が語った在宅医療の経験が、その答えとなるような気がしました。

 (在宅医療の現場って)一人暮らしの方が多くて。「一日誰ともしゃべらなかったから、あんたたちが来てくれてようやくしゃべったわ」とか。きっと看護師がきて看護するっていうことが嬉しいってだけじゃなくて。誰かがきてくれた、だれだれさんがきてくれた。今日も一日自分の話ができたっていう人が結構多くってね。これってきっと高齢者の人に限らずと思ってて。学生さんももしかしたらそういう思いを抱えている人とか、小学生の人とかももしかしたら小学校で何かあったりとかするんちゃうかなって。だから毎日ただいまっていえる相手がいるとか。宿題するだけでもいいと思うんですよ。一人じゃないんだよっていうのは。

 「みんなの保険室」のスタッフは訪問看護・訪問リハビリ事業所「あかりナースケアステーション」のスタッフでもあります。今まで培ってきた臨床経験が、繋がりの大切さへの気づきとなり、「みんなの保健室」の活動に繋がっているようです。

 「みんなの保健室」にはOriHimeというロボットを用いた遠隔スタッフの方がいらっしゃいます。OriHimeの操縦パイロットの方は医師免許を持っていて、障害のために遠隔から参加されていらっしゃるのだそうです。その方は「みんなの保健室」の役割について「軽く相談に来て、そこから受診をしてもらえるように動機づけをして。道を作ってあげる感じです」とおっしゃいました。インタビューを忘れ、ついつい自身の健康について相談する私に、その方は医学的なアドバイスをくださりました。またインタビュー中に今後の希望や展望について楽しそうに話すスタッフの方の姿が印象的でした。


写真 3 自身の健康相談に乗ってもらうインタビュアー

 その人がその人らしく健康に生きていくための身近な医療・居場所・繋がりを創出していくこと。「みんなの保健室」の挑戦は始まったばかりです。しかしながら素敵なスタッフさんの笑顔は、これから人を惹きつけていくのではないかと感じました。次は友人を連れて訪ねたいと思います。今回はありがとうございました。

みんなの保健室に関する詳細はこちらからご覧ください
「あかり訪問看護/みんなの保健室note」
https://note.com/akarihokenshitsu

 

(文責:冨安皓行)


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