REPORT ジャーナル『未来共創』関連資料「社会課題とは何か」

2020/07/24(Fri) - 16:32
 

REPORT

ジャーナル『未来共創』関連資料
「社会課題とは何か」

 

2020年1月22日に実施されたシンポジウム 「社会課題とは、統合とは」(主催:大阪大学大学院工学研究科)における、栗本英世教授の講演記録です。科学技術は本当に社会問題解決に貢献するのかという批判的な問いかけから、文系と理系が共に社会問題を再認識して「未来のあるべき姿」を構想する重要性について語られています。(全文はPDFからお読みいただけます。

 


 

「社会課題とはなにか ―人文学・社会科学からの批判的アプローチ」
 人間科学研究科 教授 栗本 英世

“現在の日本における便利さの発展は既に、ある極点に達しているように思います。そこから2つの疑問が生じるわけです。1番目は、これ以上より便利になるために、科学と技術が発展する必要があるのか。2番目は、こういうふうに非常に便利な社会になった結果、私たちは昔より豊かに、より幸福に、人間らしく暮らせるようになっているのかどうか、ですね。”

“ある社会課題を認識し、その解決に取り組むためには、文系と理系の両方を含むさまざまな学問分野の統合が必要であると私は思います。さらにその前提となること、つまり個別の社会課題の認識以上に根本的に重要なことは、未来のあるべき社会と人間の姿を構想することです。その際の何がポイントになるのか ということについては下記の3点だと考えています。

①正義と公正、そして人間が人間らしく生きることの実現を目指すこと。
②日本という国家的な枠組みを越えて、人類全体を展望する視野を持つこと。
③人間に関するあらゆる多様性を承認し、その実現を促進すること。

3点とも根源的な問題で、その実践は容易ではありません。けれども、その実践を目指すのだという持続的な姿勢が大切なのだと思います。“

“文系と理系の研究者の力を結集して、未来のあるべき社会と人間の姿を構想し、それに基づいて社会課題を認識して、解決の方法を模索すること。それによってはじめて、阪大が掲げているものは実現へと向かうことができます。それはひいては、人類全体に対する貢献にもなるでしょう。いわゆる統合というのは、その理想を実現するための手段であると私は考えています。”

全文はPDFからお読みいただけます。)