実施日 |
2024年11月28日(木)13:30~16:45 |
実施場所 |
大阪大学COデザインセンター |
参加者数 |
合計10人 運営2人(藤阪希海、河南真衣)、講師1人(櫻田千江里)、 参加者7人(学生、教育関係者、子育て支援者、社会福祉士など) |
実施内容
本プロジェクトでは、対人支援職ケアの実践家である櫻田千江里氏を講師に招き、誰もがケアされる教育について考えた。「教える」という役目には葛藤がつきものであり、バーンアウトの原因になりうると考えられている中で、バーンアウトを防ぐ共同体の形成に寄与することを目的とした。
【イベント案内文】
先生も、先輩も、親も、教育者である以前に人間。教育「する」ひとが疲れる教育は、教育「する」人も、教育「される」ひとも蝕んでいきます。誰もがケアされる教育やコミュニティを目指して、教育をめぐる葛藤を共有し、相互ケアに取り組むワークショップを実施します。

【当日の流れ】
前半では、講師による講演で、小学校での勤務経験やデンマークへの教育視察等から感じられた葛藤が共有された。それを受けて、質問タイムに入った。そこでは、思い通りにならないときの教育者の心の動き、教育者同士の関係性等について議論が交わされた。
後半では、心理学者のローゼンバーグが開発した非暴力コミュニケーション(Nonviolence Communication=NVC)の手法を活かしたワークショップを実施した。3人1組になり、「『する』『される』を超える」というキーワードから連想した経験を語り合い、自分に必要なケアを発見する時間となった。
最後に、「『する』『される』を超える」キーワードやイメージを各々表現したうえで、イベント全体を振り返るグループインタビューの時間を30分ほど設けた。
プロジェクトの考察
【成果・学び】
普段なかなか共有しにくい経験や葛藤を振り返ることのできる場として、会場は大いに盛り上がりを見せ、講師・参加者・運営すべての人にとって学びのあるプロジェクトとなった。教育者にもケアが必要であるという認識を共有しながら、多様な背景を持った人々の意見が交わることで、誰もがケアされる教育についての議論も深まった。イベント終了後には参加者同士が連絡先を交換する場面もあり、互いにケアし合う共同体の形成に寄与するという目的は、達成されたと言える。
講師の櫻田氏からは、講演内容について学びがあったというコメントをもらった。講演内容は当初、櫻田氏の思いを論理立てて説明する予定であったが、運営メンバーと櫻田氏の話し合いの結果、櫻田氏の経験を中心とするものへと変更された。イベント実施後に、複数の参加者から「このままの講演・ワークショップの内容で、自分の職場でもやってほしい」という声をもらい、経験を語ることで対話や気づきが促進されることがわかったという。
運営メンバーも、ワークショップを通して自己理解が深まった。またこれだけ葛藤を抱えている人がいることを改めて知り、勇気づけられる思いだった。


【開催場所】
大学で実施したことで、教育関係の仕事に従事した経験のある人だけでなく、教育に関心のある学生複数人にも参加してもらえたと思われる。また、大学におけるイベント情報に意識を向けている人が中心に参加したことは、対話の内容にも影響したと考えられる。
大学の中でも、会場をCOデザインスタジオとしたことで、リラックスした雰囲気を作り出すことができた。靴を脱ぎ、低い椅子や座布団に座ることで、会場の威圧感が抑えられているようであった。ただ、豊中キャンパスが広いことと、COデザインセンターの場所がわかりにくいことから、迷ったという参加者もいた。
【次回に向けて】
当初参加を希望していたものの、急遽参加できなくなってしまった人科生が何人かいたので、次はぜひ人科で実施したい。絨毯の部屋にレジャーシートを敷くなどして、COデザインセンターとは違う環境でも安心感のある会場づくりをしたい。同時に、安全性を高めるためのルールや声掛けについても、さらに考えたい。
また、今回は平日昼間に行ったため、現役教員などの参加が少なかった。次回は土日に開催するなど、実施曜日・時間も工夫を行いたい。