2025/08/07(Thu) - 10:00
アジア・太平洋戦争の終結から今年で80年という節目を迎えます。その一方で、戦争体験者の多くが逝去することで、その直接的な証言が聞き取れなくなる「ポスト体験時代」に差し掛かりつつある現在、戦争・戦後体験や記憶の継承が急がれています。こうした社会的背景のもとで、これまで「記憶の継承ラボ」では、長崎や沖縄、水俣、福島などの各地にて記憶の継承に日々尽力する現場の実践者の方々に学びながら、戦争・戦後体験の意味について受け止めてきました。とりわけ、戦中戦後の生活を絶えず切り拓こうとしてきた人びとの模索の歴史の上に今日の現実があるという、過去からの重層的な時間の連続性について私たちは現場での内省を徐々に深めてきました。そこで、本展ではこれまでフィールドにて撮影を続けてきた写真の展示とギャラリートークを通じて、各地域における戦争と「戦後」の現実と向き合い続けてきた生活者の思想的営為の記憶とその現在について考えていくことを目指しました。
連日の猛暑にも関わらず、写真展には遠方の関東を含む学内外から延べ50名の皆様にご来場頂きました(写真1)。会期中は、これまで撮影を続けてきた筆者から撮影写真についてのギャラリートーク(各回30分程度)も毎日実施することで、それぞれの写真に込めた思いについて詳しく解説をさせて頂くこともできました(写真2)。参加者の皆様が熱心に耳を傾けて下さったことを、大変有り難く受け止めています。
特に、私たちが現場で学んできたのは、戦争が終わり、社会が再び立ち直っていったとしても、様々な傷跡や語り得ない思いを長年にわたり抱え続けながら人びとが紡いできた暮らしの現実であり、それは東アジアの激動する歴史とも密接に結びついていることでした。参加者の皆様からは、私たちが普段日常を送る中で見過ごしてしまいがちな各地域の生活の歴史とその現在へのつながりについて考えさせられたという貴重なご感想を頂いたことに加えて、ご自身にとって身近な地域での戦争や「戦後」の経験について対話させて頂く機会にも恵まれました。展示を通して参加者の皆様から頂いた応援を力としつつ、「記憶の継承ラボ」の活動を更に深化させていきたいと改めて心しています。
最後になりますが、本展の開催に際してお力添えを頂いた皆様へ厚く御礼を申し上げます。
今後とも、「記憶の継承ラボ」を宜しくお願い致します。
実施日 |
2025年7月28日(月)-30日(水) |
参加者数 |
50人 |
実施内容
大阪大学大学院人間科学研究科附属未来共創センター・IMPACTオープンプロジェクト「記憶の継承を祈念するグローバル・ダイアログ(記憶の継承ラボ)」と人間科学研究科環境行動学研究分野は、2025年7月28日(月)から30日(水)にかけて、大阪大学人間科学研究科本館1階・インターナショナルカフェにて写真展「「戦後」の生活者の思想的営為の記憶とその現在」を開催しました。アジア・太平洋戦争の終結から今年で80年という節目を迎えます。その一方で、戦争体験者の多くが逝去することで、その直接的な証言が聞き取れなくなる「ポスト体験時代」に差し掛かりつつある現在、戦争・戦後体験や記憶の継承が急がれています。こうした社会的背景のもとで、これまで「記憶の継承ラボ」では、長崎や沖縄、水俣、福島などの各地にて記憶の継承に日々尽力する現場の実践者の方々に学びながら、戦争・戦後体験の意味について受け止めてきました。とりわけ、戦中戦後の生活を絶えず切り拓こうとしてきた人びとの模索の歴史の上に今日の現実があるという、過去からの重層的な時間の連続性について私たちは現場での内省を徐々に深めてきました。そこで、本展ではこれまでフィールドにて撮影を続けてきた写真の展示とギャラリートークを通じて、各地域における戦争と「戦後」の現実と向き合い続けてきた生活者の思想的営為の記憶とその現在について考えていくことを目指しました。
連日の猛暑にも関わらず、写真展には遠方の関東を含む学内外から延べ50名の皆様にご来場頂きました(写真1)。会期中は、これまで撮影を続けてきた筆者から撮影写真についてのギャラリートーク(各回30分程度)も毎日実施することで、それぞれの写真に込めた思いについて詳しく解説をさせて頂くこともできました(写真2)。参加者の皆様が熱心に耳を傾けて下さったことを、大変有り難く受け止めています。
特に、私たちが現場で学んできたのは、戦争が終わり、社会が再び立ち直っていったとしても、様々な傷跡や語り得ない思いを長年にわたり抱え続けながら人びとが紡いできた暮らしの現実であり、それは東アジアの激動する歴史とも密接に結びついていることでした。参加者の皆様からは、私たちが普段日常を送る中で見過ごしてしまいがちな各地域の生活の歴史とその現在へのつながりについて考えさせられたという貴重なご感想を頂いたことに加えて、ご自身にとって身近な地域での戦争や「戦後」の経験について対話させて頂く機会にも恵まれました。展示を通して参加者の皆様から頂いた応援を力としつつ、「記憶の継承ラボ」の活動を更に深化させていきたいと改めて心しています。
最後になりますが、本展の開催に際してお力添えを頂いた皆様へ厚く御礼を申し上げます。
今後とも、「記憶の継承ラボ」を宜しくお願い致します。

写真1 展示風景(2025年7月筆者撮影)

写真2 ギャラリートークの様子(2025年7月ラボメンバー撮影)