REPORT【学生プロジェクト】 生きもののからだ、私のからだ:動物模倣ダンスから共生を考える/感じる

2025/08/19(Tue) - 10:00
実施日 2025年8月4日(月) 15:30-18:30
実施場所 大阪大学人間科学部棟東館E106
参加者数 総勢14人(講師1人、運営2人含む)

実施内容

 2025年8月4日(月)、大阪大学吹田キャンパス人間科学部棟東館E106にて体験型ワークショップ「生きもののからだ、私のからだ:動物模倣ダンスから共生を考える/感じる」を開催した(講師:堀川よしとも、運営:中谷碩岐、藤阪希海)。本イベントは、人間科学部・人間科学研究科を中心とした大阪大学関係者を参加対象とし、人間科学部棟で動物模倣の舞踊の体験会を実施することを通じて、各地の動物を模倣した舞踊について参加者の理解を深めるとともに、実際の体験を通じて相互交流を図ることを目的とするものであった。伝統的にコミュニティの形成において重要な役割を果たしてきた舞踊や音楽は従来「共生」のトリガーとして注目を集めてきた。とりわけ動物を模倣する舞踊は、参加者がイメージしやすいという点において「共生」のための媒介として範例的であるように思われる。今回のイベントでは、単に「共生」を理論的に理解するのみならず、実践を通じてこうした舞踊が持つ力を体験する機会を持つことを目指した。
 今回のイベントでは、人間科学研究科のみならず、工学研究科など他の研究科の学生を含め、多くの来場者を迎えることができた。イベント当日は、中谷からの短い趣旨説明ののち、堀川氏主導でGalop Nantais(ウマの踊り)、La danse de l’ours(クマの踊り)、そしてKocaarap Zeybeği(トリの踊り)の三種類の動物を模倣する舞踊を体験した。報告者の印象としては、それぞれある程度フォーマルなもの、地元のお祭り的な盛り上がりを見せるもの、そして儀礼的側面が強いものであり、一口に「動物を模倣する舞踊」といっても、その内部にあるバリエーションやその背後にある各地の文化を感じた。またダンスの実践の中では、理学療法士でもある堀川氏から、舞踊における男役・女役の差異や、文化や慣習・社会構造がそれらに与える影響、人間と動物の骨格の同一性と差異などについて補足を受けつつ、実際に体を動かすことで、言葉では理解することが難しい部分も含めた動物模倣の舞踊の動きについて実践し、理解を深めた。

プロジェクトの考察

 当初の目標通り、ワークショップでの実際の体験を通じて、動物を模倣する舞踊に関する参加者の理解は格段に深まったように思われる。堀川氏から口頭でご教示いただいた各舞踊の説明もそうだが、とりわけ実際に体を動かすことによって、骨の位置や筋肉の使い方など「踊り」を構成している技法を極めて具体的な位相で実感することができたことがおおきな収穫であった。また、初対面の参加者同士もカップルダンスなどを通じて(相手のことをほぼ知らない状態でも)会話が発生するなど、あらためて「舞踊」が持つ「共生」のトリガーとしての力を実感した。
 他方で、今回のイベントでは「体験する」という側面を重視したこともあり、それぞれの舞踊の文化的背景について十分な考察を行う時間を十分に取ることができなかった。次回は、今回のイベントでは十分に論じられなかった文化的側面や踊りの発祥、実際の日常や非日常の中での具体的な役割などを含めて学ぶ機会を設けたいと考えている(しかし、こうした更なる関心を喚起することができたこともまた、このワークショップの最も大きな成果のひとつであり、この会なしにはあり得なかったことも言い添えておきたい)。
写真① 当日の様子

写真① 当日の様子

写真②

写真②

(文責:中谷 碩岐)