| 実施日 |
2025年11月18日(日) 09:15-15:00 |
| 参加者数 |
8人 |
実施内容
2025年11月17日に学生プロジェクト「大阪・茨木 隠れキリシタンの里を尋ねる」を開催した(講師:米田翼 企画者:中谷碩岐・石長佑一)。本企画では、大阪府茨木市にあるキリシタン自然歩道を散策するとともに、大阪府茨木市にあるキリシタン遺物資料館の訪問のほか、隠れキリシタンの里と呼ばれる下音羽地区などを巡り、地元大阪・北摂の歴史について学ぶことを目的とした。今回のプロジェクトでは、引率教員として米田翼先生(人間科学研究科助教)をお招きした。米田先生はハイキングカルチャー(UL:ウルトラライト)に造詣が深く、ハイキング思想史に関する研究も行なわれている。参加者は、米田先生による北摂の自然歩道全体の解説とともに、実際にキリシタン自然歩道を歩くことで、かつての隠れキリシタンの生活に想いを巡らせた。
当日は晴天にも恵まれ、阪急茨木市駅に集合した後、キリシタン自然歩道周辺までバスで移動した。茨木市忍頂寺バス停から出発し、まずは「キリシタン墓碑」のある禅宗曹洞宗の高雲寺まで徒歩で向かった。狭い道路を歩きながら高雲寺に到着すると、紅葉が見事に色づいており、墓碑の痕跡も確認することができた。次に自然歩道を実際に歩き、キリシタン遺物資料館へ到着した。そこでは著名な「フランシスコ・ザビエル肖像」が発見された経緯など、映像資料も含め様々な資料が展示されており、改めて地域の歴史について学習することができた。その後、自然歩道を再び歩きつつ、北摂の隠れキリシタンの里を探索した。
プロジェクトの考察
本プロジェクトは、大阪大学の基本理念「地域に生き、世界に伸びる」を再度真剣に受け取り、実社会と遊離した象牙の塔を脱して「地域に根差した大学」の構成員としての自覚を有することを目的して企画された。本企画において参加者は、キリシタン遺物資料館の展示を静的な仕方で学習するのみならず、北摂の自然の中を実際に自らの足で歩くことを通じて、隠れキリシタンと呼ばれる人々がどこでどのような生活を送っていたのかを、僅かなりとも再体験し、各々の仕方でその生活についてより深く考えることができたと考えられる。参加者のひとりからは、「散策を通じて当時の隠れキリシタンたちが感じていただろう切迫感を身に持って体験できた」という声もいただいた。こうした感想は、自然の中を歩くという活動が、自然を体験するアクティビティという側面を有するだけでなく、実際に人々の生活した場所を再体験する、記憶の継承や伝承に関わる営為でもあることを示しているだろう。参加者と共にこうした機会を持つことができたという点において、本企画の目的は十分に達成することが出来たと考えている。
写真1 当日の様子
写真2 ポスター
(文責:中谷 碩岐・石長 佑一)