2019年2月27日、中国四川省成都市にあるShanghai Shenghui Information Technology Company成都支社にて、OOS加盟団体である新安世紀教育安全科技研究院理事長・院長の張国遠氏や、大阪大学大学院人間科学研究科渥美公秀教授を中心として、「中日防災安全技術研修項目検討会」が開催されました。

 中国南西部に位置する四川省では、2008年にモーメント・マグニチュード7.9の大地震が起こり、死者行方不明者数合わせて8万人以上の市民が犠牲になりました。その際に、防災教育が不十分だったのではないかとの反省から中国国内では、災害時に限らず平時から自らの命を守り共に助け合う、防災安全教育の重要性が叫ばれつつあります。今回の「中日防災安全技術研修項目検討会」は、このような反省を踏まえて、次世代の防災安全教育を担うリーダーづくりを目標として、理論にも精通した実践家養成研修のプログラムの策定を行いました。本プログラムは、今年5月に第1回を中国国内で行うことが決定し、順次日本でも同様の講師陣によるプログラムを実施する予定になっています。

 参加者は、王教授(四川師範大学)、廬教授(成都師範学院・四川省心理学会理事長)胡教授(成都師範学院・四川省心理学会副理事長)、陳弁護士、張研究員(新安世紀教育安全科技研究院)、廬研究員(新安世紀教育安全科技研究院)、龍さん(深圳点点安児童教育有限会社職員)に加えて、渥美公秀教授(大阪大学大学院人間科学研究科)、宮前良平(大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程)、林亦中(大阪大学大学院人間科学研究科博士前期課程)でした。

 会議は、プログラムの目標を確認するところから始まりました。本プログラムの目標として、防災における日本の学術的実践的な知識と中国国内で地道に取り組まれている防災実践を融合させることで、応用型の防災人材を育成することであることが承認されました。また、防災に関する単なる形式的な「テクニック」を学ぶのではなく、被災された方々に寄り添えるようことが重要であることもメンバー全員で共有しました。

 次に、本プログラムの対象者について話し合われました。本プログラムの対象者は主に以下の4つのうちどれかに該当する人です。①NGO職員②コミュニティのリーダー③学校の先生④防災関係の企業にお勤めの方。特に「③学校の先生」についてですが、中国では、昨年から小中学校において週2コマの安全教育が義務化されたものの、それに対応できる教員が不足しているという実情があります。また、今後の検討課題としては、障害者や在留外国人の方への対応が挙げられました。

 次に、中国側の講師陣による講義内容の共有が行われました。王教授は、企業における安全管理を専門に研究しており、本プログラムにおいては、学校での安全管理を担当します。ろ先生・胡先生は、中学生の災害後の心のケアを専門にしており、本プログラムにおいても中学生の心のケアについて担当します。陳さんは、弁護士であり法律の専門家であるので、学校の安全についての法律についてやボランティアの賠償責任についてなどの講義を担当します。他にも、多くの講師陣が参加される予定です。また、日本側の講師陣としましては、人間科学研究科渥美教授をはじめとする研究者だけでなく、OOS協定先である日本災害ボランティアネットワークの寺本弘伸常務理事など第一線で活躍している実践家の方々も予定しています。

 5月に中国で行われる第1回プログラムに向けて、また、今後の日本での同プログラムの展開に向けて有意義な議論となりました。

 

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  • 3すべての人に健康と福祉を
  • 4質の高い教育をみんなに
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  • 13気候変動に具体的な対策を
  • 14海の豊かさを守ろう
  • 15陸の豊かさも守ろう
  • 16平和と公正をすべての人に
  • 17パートナーシップで目標を達成しよう
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