日時: 2020年1月16日(木) 13:00~15:00
場所: 大阪大学銀杏会館3階 「阪急電鉄・三和銀行ホール」
主催: 大阪大学大学院人間科学研究科 附属未来共創センター

 

◆プログラム

  • 第一部/公開シンポジウム

    • 【開会挨拶】 川端亮(大阪大学人間科学研究科研究科長)

    • 【キーノートトーク】 栗本英世(大阪大学人間科学研究科教授)
      「共創知とはなにか-人間科学研究科教員・学生の実践から考える」

    • 【取り組み事例の紹介とディスカッション】
      新安世紀教育安全科技研究院/ジャトー株式会社/ダイハツ保健センター/特定非営利活動法人 北いわて未来ラボ/モデレーター:稲場圭信(大阪大学人間科学研究科教授)

    • 【閉会挨拶】 志水宏吉(大阪大学人間科学研究科未来共創センター長)

  • 第二部/ワークショップ

 

◆参加者

企業・NPO・自治体・大学関係者等を中心に110名程度。

 

◆内容

 第一部の公開シンポジウムでは、共創知の暫定的な定義についての説明が行われました。共創知とは「研究者と現場(フィールド)の当事者とのあいだのかかわりあい、相互作用のなかで生成される実践的な知」であり、そうした共創知の現場における研究者は、つなぎ役・媒介者としての役割を果たすというものです。

 つぎに、OOSのパートナーがそれぞれの取り組みを発表いただきました。その内容は多様であり、災害に関するもの、情報技術に関するもの、健康に関するものなどです。OOSパートナー団体からは「OOS協定を通じて、新しい交流が生まれた」「これまでにないアイデアが生まれた」など、OOS協定を通じて芽吹き始めた「共創知」に関わるコメントを頂きました。

 

 

 第二部のワークショップにおいては、参加者が8チームに別れ、SDGsカードを使用したワークショップを行いました。1つのチームには、様々な組織からの参加者が混在しています。企業取締役、行政職員、NPOスタッフ、大阪大学教員・学生。皆で設定した課題を議論し、学生の取りまとめ役がそれら参加者の意見を調整しました。参加者は、配布されたSDGsカードを手に、班のメンバーが持つ多様な資源を組み合わせて、どのような社会改善を行うことが可能かを話しあい、班ごとにその結果の発表を行いました。

 

 

 今後も、未来共創センターではOOSパートナーとともに「多様な人々が、より良い社会を作るために議論をする」という共創の場の形成を目指していきます。

(RA:八木景之)

 


 

<ワークショップ参加した学生の声>

 本シンポジウムの後半は、OOSパートナーのみなさまと大阪大学教員・学生が同じテーブルを囲み、ワークショップを行いました。SDGsカードを利用し、それぞれの問題意識を共有しました。そのうえで、実際に解決すべき課題を設定、テーブルに集まったメンバーでどのように解決できるのかを考えました。

 

 

○ 学生の声1

 私たちの班には、まちづくりを考えている方、高齢者の今後の生活について考えている方、震災からの復興について考えている方、精神健康の向上について考えている方、教育を受ける機会の平等な提供について考えている方など、多岐にわたる背景を持つ方々がいらっしゃりました。私たちは“まちづくり”をテーマとしてそれぞれの意見を共有し合ったのですが、その中でも「孤独死は高齢者の問題ではなく、“孤独”の問題である。住民の間につながりがあり、信頼関係が築けていれば孤独死は防げるはずである」という意見が印象的でした。孤独の問題は、高齢者に限らず災害後や精神疾患、教育といった領域とも通ずる問題であり、まちづくりを行う際には様々な分野に目を向けて問題の解決を図ることが大切であると感じました。

○ 学生の声2

 はじめは、色々な背景の人々と話ができるということで楽しみな反面、日々取り組まれている内容が全く異なる人々が、一つの社会的問題の解決を目指すことができるのか。それを取りまとめることができるのか不安でした。私のグループでは、ゴール3の「すべての人健康と福祉を」を選びました。始まってみると、一見、健康や福祉と関係のない企業の方でも、一社会人として感じられていることなど、貴重なアドバイスを頂くことができました。今回のワークショップで、企業や行政など、様々な背景を持っている方と意見を交わすことができて、貴重な機会になりました。ありがとうございました。

 

 

○ 学生の声3

 産官社学の連携ということで、学内外のあらゆるセクターの方々と関わることができました。企業一つとっても、分野や商材が異なるため、SDGsで着目する観点も異なり、深みのあるディスカッションができたと思います。特に、「安全な水・トイレを世界中に」というテーマに絞って検討したのですが、場所や対象を狭く考えなければ時間内に終わらなかったので、少しもったいない気もしました。企業の視点、地域を支える組織の視点、一住民としての視点というように、多面的に「水」を考えることができたのはとても良かったと思います。また、企業にお勤めの方々は、このようなディスカッションの場はあまりないので、新鮮だったようです。学生側からは、CSRなど一般市民からは見えにくい企業の役割を知ることができ、見方が変わったとの意見もありました。ぜひ今後ともこのような交流の場が設けられることを願っております。

○ 学生の声4

 私たちの班は、「住み続けられるまちづくり」のテーマを取り上げ、議論しました。さまざまな背景を持つ人々が参加されていたため、「自治体の権限を強化するべき」という意見や、子育て支援、高齢者の活躍、住宅問題、ライフスタイルに関する意見など、幅広い角度からの提案が見られました。また、多様性が増す社会の中で、いかにしてルールを形成することができるのか、といった議論が盛り上がりました。今回のワークショップにおいても、多様な人々が協調して話し合うためのルール作りが重要であったように思えます。こうした機会が、そうしたルール作りの技法を探求することにつながれば良いと思いました。

 

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