ディスカッション2では、東日本大震災で被災地の一つである岩手県野田村から小田祐士村長、そして、同じく野田村から岩手県立久慈工業高等学校の生徒であり、震災を経験した玉川裕貴さんと山形一真さん、また、2018年に起きた西日本豪雨で被災した愛媛県⻄予市野村町より地域の高校生グループ「Nジオチャレ」の代表を務めている高岡伊織さん、公益財団法人ひょうご震災記念21世紀研究機構 人と防災未来センターで主任研究員を務めている高原耕平さん(未来共生プログラム2期生)、そして、最後に社会学の観点から防災を研究している稲場圭信先生の6名をパネリストに迎え、大災害の時代に住み続けられるまちづくりについてディスカッションを行いました。

小田村長は震災当時の映像を振り返りながら、村の被害と復興について報告し、玉川さんと山形さんは当時6歳であった当事者としての経験が語られました。玉川さんと山形さんから、復興し住みやすい村になっているものの、若者など将来の担い手が減少する中、IT技術を活用して村の将来を繋げていきたいと語られました。高岡さんは、高校生が積極的に町の復興に関わることが、地域の人々を勇気づけることができると考えたと報告されました。高原さんは、これまでは科学の力で災害にあらがうことを考えてきたが、今後は災害と共生する考えが必要ではないかと指摘されました。そして、稲場先生は地域の多様なアクターをつなげることによって減災に取り組むがことができると、社会的なネットワークを構築していく必要性を提示されました。

後半のディスカッションでは、「災害の伝承活動は高齢者が中心であったが、高校生など若者が語ることの重要性に気づいた(高原さん)」とコメントがあり、高校生の玉川さん、山形さん、高岡さんからは「他の地域の被災者の話を聞けたことが勉強になった」と感想を述べました。また、自然災害との共生について「災害を防ぐことは困難であるが、減災または自然との共生の必要性は経験上、理解している(小田村長)」と述べられました。そして「被災経験から利他主義の重要性についても気付かされた(小田村長)」と言及され、「被災された方々は一方的に助けられる対象ではなく、受けた恩を次に繋げていく力強い存在である(稲場先生)」とコメントされました。 OOS協定などにより様々なアクターとの協働する過程で、言語化されていない地域の人々の知識や大切さ、減災という考え方、さらには災害を人災にさせないことの重要性を再確認するディスカッションとなりました。