人間科学を知ろう

【セッション3】時代とともに生きる心理的支援

オーガナイザー:佐々木淳

講演概要

何かとこころの問題がクローズアップされる今の世の中ですが、こころを支援していくにはどのような専門家が必要なのでしょうか?そして、こころの支援はこれからどのようになっていくのでしょうか?このセッションでは、臨床心理士と公認心理師という二つの資格をキーワードに、過去・現在・未来という時間の流れからこころの支援について話し合いました。

講演概要

1988年に財団法人認定の臨床心理士という資格が成立して以来、大学附属の心理教育相談室が全国各地に生まれ、地域でお困りの方への支援を行いながら多くの臨床心理士が育ってきました。2018年からは心理学界の悲願であった国家資格・公認心理師の養成が開始され、国民のこころの健康の保持増進に寄与すること、そのために多職種連携をおこなうことが求められています。そして今後はコロナ禍の影響もあり、ITでの遠隔支援やアプリを用いた有効な心理的支援がさらに広がっていくことが予想されています。地域ではぐくまれた心理的支援が広く社会に浸透し、地域を超えて提供されるアクセシビリティの時代へと展開していくことでしょう。

今後の展望

こころの問題は見えづらい上、関わる専門職も様々であるため、大学院において高度に専門的な訓練が必要となります。臨床心理士の養成課程は専門家としての視野を深め、公認心理師の養成課程はその視野を社会へと広げてゆくのに貢献すると言えるでしょう。資格とは「社会との対話」であり、社会からの要請を受けて科学としての側面を持つ臨床心理学による専門家養成がその発展の追い風になったことが欧米の臨床心理学史から読み取れます。人のこころを助けようとした行為が歴史の中でどのように評価されてきたのかを踏まえながら、学際性を十分に備えた全国の人間科学部・人間科学研究科での心理職養成に期待が寄せられつつ、本セッションは幕を閉じました。

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