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人間科学とは

 大阪大学人間科学部は、日本ではじめて設立された「人間科学部」です。1972年(昭和47年)に大阪大学文学部から独立する形で、心理学・社会学・教育学3系9講座からなる学部として発足しました。
 人間科学部創設の理念は、「時代が突きつける新しい課題に対して、科学的方法を信頼して学際的に対応しようという、現実に向かう開かれた精神」と言われています。
 現在ではこの言葉の執筆者はわからないのですが、日本の大学にはじめて人間科学部という学部を創ろうとした当時の関係者のなみなみならぬ意欲が伝わってきます。
 この理念をもう少し具体的に考えてみると、人間科学という学問を創設するにあたり、2つの原型があったことに気づきます。
 1つは、アメリカの文化人類学などにみられたサイエンス・オブ・マン(science of man)であり、もう1つは、フランスから出てきたシアンス・ユメーヌ(sciences humaines)もしくはシアンス・ドゥ・ロム(sciences de l'Homme)という考え方です。前者は、アメリカという移民社会を反映して、文化人類学と社会学、マイノリティやコミュニティにおける多文化主義といった問題を応用的・総合的に研究する学問のことを意味しています。これに対して後者は、新しい方法を使って人文科学をリニューアルする学問のことを意味し、戦後間もないころですから、第二次世界大戦(とりわけ「ホロコースト」)への反省から熱いまでの「ヒューマニズム」思想が、その根底にはあったようです。
 現在では、学部は行動学科目、社会学科目、教育学科目、グローバル人間学科目という4学科目からなっており、大学院は9大講座からなっております。
 人間科学部も創立されて、すでに40年以上経ちました。ある程度の伝統も形成されてきました。しかしながら、ある学問というものが世間に認知され市民権を得ると、学問が誕生したときの驚くべきエネルギーは、しばしば失われるものです。今こそ、「人間とは何か」「社会とは何か」という人間科学にとっての、根源的な問いに立ち返ることが求められているのではないでしょうか。人間科学を志す若い人びとともに、21世紀の人間の営みに貢献する叡智を切り開いていきたいと、人間科学にかかわる私たちは考えています。