研究科長 / 学部長挨拶

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大阪大学人間科学研究科・人間科学部は「学際性」、「実践性」、「国際性」という3つの理念を重要な柱としています。行動学、社会学、哲学、人類学、教育学などを中心に学際的な立場から、総合的な人間理解を目指してきました。近年は、共生学という新しい学問領域も開拓しています。学部には、英語で学ぶことのできる英語コースも設けており、国際性豊かな教育研究環境を実現しています。また、大学と社会の結び目となり、社会とともに未来を創造する実践に取り組む、附属未来共創センターを設置しています。

人間科学部は1972年に誕生しました。当時、この突飛な名称の学部の設立に対しては、人間科学とは何か、何が学べるのか、といった点で理解が得られず、逆風も感じられたと聞きます。しかし、現在では、人間科学を名称に含む大学部局は40を超えているとのことです。

この発展は、人間とは何か、どうあるべきかといった問いの探究が、どこまでも広がり、深まり続けるものであるゆえに必然だったのかもしれません。あるいは、現代の社会において、人間について考えることがますます重要になっていることを反映しているのかもしれません。

人間についての深い問いかけが求められる時代に、私たちに課せられたミッションとは、人間そのもの、人間によって構成される社会のありよう、あるいは人間と自然とのかかわり等に深い関心をもち、学問的探究を粘り強く展開することです。そして、この探究の精神を受け継ぎ、将来の学術研究を主導する者、または、世界の様々な場所で活躍する個性豊かな者を育てること。さらには、直面する社会課題に立ち向かうことです。

それは、私たちの生み出す知が、どのように社会にインパクトを与えられるのか、あるいは社会に偏在する様々な知と混ざり合い変容し、社会とともに新しい知を創造できるのかという挑戦でもあります。

皆さんに、人間科学研究科・人間科学部の挑戦を知っていただき、またそこに参加してくださることを強く願っています。

2024年4月

大阪大学大学院人間科学研究科長/人間科学部長
西森 年寿