イベント

「仮留める、仮想ねる 津波に流された写真の行方」展示 + トークセッション


仮留める、仮想ねる

 

津波に流された写真の行方

 

日時: 2019年2月23日(土)~ 2月24日(日)

場所: ららぽーとEXPOCITY 光の広場
(大阪府吹田市千里万博公園2-1)

 

2011年に発生した東日本大震災に際しては、津波によって流された写真を拾い集め、元の持ち主に返そうという活動が次々に生まれました。「被災写真救済活動」と呼ばれるこうした活動は、被災した人々の「思い出」をサルベージする[引き揚げる、救い出す]もので、被災した人々が新たな生活を「過去と地続きのもの」として歩みだすという意味において大きな役割を果たしています。

そうした被災写真救済活動はいま岐路を迎えています。発災から8年を迎えようとする現在、返却されえなかった被災写真は行く場を失い、「お焚き上げ」というかたちで焼却されるものも少なくありません。結婚式、お宮参り、家族や友人との旅行といった特別な日を写し取ったもの。子どもの日々の成長やペットの姿といったなにげない日常の光景を留めたもの。それらは東北沿岸部の当時の生活様式や文化を知る貴重な資料であるとともに、被災した人々の生の軌跡の断片です。

本展示では、損傷が激しいために持ち主の判別が難しいと判断された写真を並べ、それを見るあなたに、会ったことも、もはや会うこともないであろう誰かの生に触れてもらうことを願っています。写真を手がかりにして、ありふれた、しかしかけがえのない日常が不意に断ち切られたということを想像し、いつかどこかで降りかかるかもしれない/降りかからないかもしれないあなたの震災体験をかさねてみてください。少し遠くから、数多くの写真をひとつのまとまりとして眺めてみる。あるいは、そこに近づき、一枚一枚に目を凝らしてみる。それぞれの距離から、「仮留(かす)める」、「仮想(かさ)ねる」ことで、そこに確かにあった生の記憶が継承されるささやかな契機となれば幸いです。

企画者一同

 

トークセッション「被災した写真を見るということ」

 

日時: 2019年2月24日(日)14:00~16:00
登壇者: 岡部美香、溝口佑爾、高森順子
(登壇者プロフィールはPDFをご覧ください)

 

災害の記憶を伝えるために〈モノ〉を遺し継承するということ—特に、実際に被災した当事者ではない人々に災害の記憶を伝え、遺し、継承すること。こうした事柄の意義と課題について、「被災した写真」を見る(あるいは見せる)という本展示の試みを通じて、企画者が鼎談形式で議論します。

予約不要・入場無料でどなたさまもご参加いただけますので、ぜひお越しください。

 

主催: 大阪大学人間科学研究科附属未来共創センター 日本災害復興学会学術推進委員会 思い出サルベージ
協力: 大阪大学共創機構社学共創本部 LOST & FOUND PROJECT 名古屋文理大学映像デザイン研究室

お問い合わせ: 岡部美香(大阪大学人間科学研究科)
mioka@hus.osaka-u.ac.jp