研究科長 / 学部長挨拶

研究科長/学部長の写真

大阪大学人間科学部は、1972年に誕生しました。私たちは、人間科学(Human Sciences)という学問領域を日本で最初に立ち上げたパイオニアです。

創立以来、半世紀にわたり、文系・理系という従来の枠組みを超えた文理融合の視点を常に大切にし、また「学際性」、「実践性」、「国際性」という3つの理念を重要な柱としながら、行動学、社会学・人間学、教育学、共生学などの多様な学問分野の視点や研究方法を参照し、新しい学際領域を開拓するチャレンジを続けてきました。人間という存在そのもの、そして社会のありように絶えず深い関心をもち、学問的探求を粘り強く展開するとともに、現代社会が直面する諸問題の解決に資する専門的研究者および21世紀の世界に貢献する個性豊かな人材を育成することが、私たちに課せられた重要な社会的ミッションだと考えています。この人間科学部の新たな試みは、時代のニーズに合致していたこともあり、創立当時は9つだった研究分野(大学院)が、今では50ほどの分野へと大きく拡大し、発展し続けております。

近年は、社学共創という概念のもとで、実践性を重視しながら、専門知、統合知、共創知を紡ぎ出してきております。大学外の多様な人々もそれぞれの文脈で専門知や統合知を育んでおられます。社会と大学が出会い対話を重ねる共創の場においてそれぞれの専門知や統合知をもとに生み出される動的な知、それが共創知です。現在、人間科学部・人間科学研究科では、学生達が多様な人々の専門知、統合知をリスペクトする姿勢を身につけ、様々な共創の場を体験できるように附属未来共創センターを設置して、社学共創を推進しています。

創立50周年を迎えた今は、改めて科学(Sciences)が問い返され、人間(Human)のあり方も大いに問い直される時代です。そして、その問い直しは、誰による誰に向けた議論なのか、その知は誰に属するのかといった問いも忘れてはならないでしょう。人間科学部・人間科学研究科は、社会の多様な人々と共創しながら、次の半世紀も、こうした問いを磨き上げていくことになります。

皆さんが、人間科学研究科・人間科学部の挑戦に積極的に参加してくださることを切に願っています。

2022年4月
大阪大学大学院人間科学研究科長/人間科学部長
渥美 公秀