共に生きる不自由-表現者との対話ワークショップ(全3回) 第1回 Re Freedom Aichiからのメッセージ(一般公開:聴講可)

 


開催趣旨

 未来共生プログラムは、国籍、民族、言語、宗教、性差、性的指向、病歴、障害歴など、さまざまな属性を超えて、他者と他者とが互いに認め合い、助け合い、高め合い、新たな価値や利益を生み出すことができる、創造的で発展的な共生社会をめざし教育、研究を行っています。

 「表現の不自由展・その後」が展示された「あいちトリエンナーレ2019」に出展し、その再開に向けて尽力された加藤翼氏、村山悟郎氏を講師に招き、オンラインワークショップを開催します。新型コロナウィルスにより世界中が見えない脅威にさらされ、何か見えない力が働いているような空気を感じる中、さまざまな分断が存在する社会でどう共にあるべきか「共に生きる不自由」を熟議する場を設けます。



主催: 大阪大学人間科学研究科 附属未来共創センター未来共生プログラム

講師: 加藤翼氏(アーティスト)、村山悟郎氏(美術家)

進行役: 小泉朝未氏(未来共生プログラム卒業生)

定員: 最大15名 (申込先着順:3回とも参加できることを条件とします)
  • ★対話ワークショップに参加できるのは大学生のみです
  • ★大学生以外の方は、第1回、第3回ワークショップのみ聴講できます
     (聴講に人数制限はありませんが、聴講の場合でも下記から申込みをお願いします)

開催日時(すべてZOOMを使ったオンラインです) 
  • 第1回ワークショップ:6月27日(土)15:00~17:00

    Re Freedom Aichiからのメッセージ(一般公開:聴講可)

  • 第2回ワークショップ:7月11日(土)15:00~16:30

    身近に起こっている「共に生きる不自由」を語りあう(非公開)

  • 第3回ワークショップ:8月8日(土)15:00~17:00

    「不自由からはみだすアクション」を報告する(一般公開:聴講可)


参加申し込み(申込締め切り:6月21日)

下記から申し込みいただいた方にオンライン会議のURLを送付します。
なお、URLからのアクセスが困難な方は、下記のアドレスまでメールでご連絡ください。

https://forms.gle/P7xMDpktphtcwzKY8


問い合わせ先: 大阪大学大学院人間科学研究科附属未来共創センター
担当:石塚 y-ishizuka[at]hus.osaka-u.ac.jp([at]を @ に変えて下さい)
【参考】

あいちプロトコルURL: https://aichitriennale.jp/news/2019/004419.html

 

講師からのメッセージ

 トランプ大統領の登場から「分断の時代」というフレーズをよく聞くようになりました。しかしパッと見てAーBの二項対立のような場合でも、その視野を広げれば、じつは対立を煽る存在Cを交えた三つ巴の状態であったり、逆に全く興味を示さない集団D、そもそも情報の圏外である地域Eもそのすぐ側にいることを見落としてはなりません。また一方で、もはや時代は分断ではなく、全体監視・管理社会の到来を予見、危惧する声が現在のパンデミックによって高まっています。このさき私たちは国による管理をどこまで受け入れ、どのように自律する権利を維持することができるのでしょうか?

これまでに私が活動してきたマレーシア、アメリカ、ベトナム、福島、香港、そして昨年のあいちトリエンナーレ騒動下での実践から、各地での分断のかたち、そして一部の地域では既に行われている管理社会の姿を作家の視点で紹介します。そうした一つ一つの例と皆さんの持つ専門知識を混ぜ合わせながら、私たちの来るべき実践のヒントを一緒に探りたいと思います。

(アーティスト・加藤翼)




「私はあいちトリエンナーレ2019年の参加アーティストの一人として、「表現の不自由展」の問題を受けて、今後のあいトリの運営について規定するための「あいち宣言・あいちプロトコル」の起草に主導的に関わりました。文化庁の補助金不交付問題、つまり国との文化政策上の関わりも大きく、日本全国の国際芸術祭にとって汎用性のある文書として、広がりを持つことを期待して作りました。
海外からアーティストを招聘する国際的な芸術祭を念頭に、表現の自由に対して日本の法規範や、芸術祭に対する理念を示しました。また、芸術祭のステークホルダーたちの権利と責務を明文化していきました。しかし、行政の業務を構成するための文言として、この起草プロセスに誰が関与するのか、いかに市民にひらくかは難しい問題でした。加えて、表現の自由と、ヘイトスピーチの制限や禁止とをどうバランスを取るかが極めて困難な課題になりました。そのような経験を活かし、[inclusive/exclusive=包摂/排他]の問題、すなわち「いかに開く/閉じるか」を皆さんと考えたいと思います。」

(美術家・村山悟郎)