シリーズ人間科学

Q.「人間科学とは何ですか?」「人間科学部は何を学ぶところですか?」

A. 私たち大阪大学人間科学部・大学院人間科学研究科の研究者はそれぞれの専門性を深めると同時に、 他の学問分野の視座をも取り入れることで、人の心、身体、暮らし、社会、共生を探求しながら、 それぞれが自らの「私の人間科学」を作り上げようとしています。「シリーズ人間科学」は、 「人間科学とは何ですか?」という疑問への現時点における私たちからの回答の一つです。


  • シリーズ人間科学 1 「食べる」
    (出版:
    「食べる」という日常的な行為をキーワードに、心理学、社会学、教育学、哲学、 生物学などの広範な学問領域から、「人そのものと、人が営む社会」を明らかにする。 各章では、味覚をつかさどる脳神経機構からの研究、乳幼児の食行動と関連した社会性の発達、 贈与交換と共食、摂食障害、食事の作法、災害時の「炊き出し」、辺境地の食、サルや類人猿の食行動、 食と性のタブー等について扱い、「人間とは何か」という問いに迫る。...
  • シリーズ人間科学 2 「助ける」
    (出版:
    助ける/助けないことは、生き物すべてが生涯を生き抜く際に行う日常的で不可欠な行為である。 本書では、助けること、助けないことを哲学的、共生学的に議論し、障害、差別、途上国など 多様な場面での助ける行為を医療社会学、教育社会学、国際協力学のフィールドワークから伝える。 さらに、人間工学、比較行動学、臨床心理学、現象学、グループ・ダイナミクスなどの視点から論じて、 「助ける」に関する実践的な展望を拓く。...
  • シリーズ人間科学 3 「感じる」
    (出版:
    人工知能やロボットなど、人間の能力を超えるさまざまな機械が登場しつつある現代。 そんな時代でも、私たちには「感じる」という心の働きが残されている。 本書では、知覚心理学から脳科学、社会心理学、安全行動学、発達科学、 異文化コミュニケーションといった幅広い視点から、「感じる」心について紹介する。...
  • シリーズ人間科学 4 「学ぶ・教える」
    (出版:
    「学ぶ」行為は、人が生まれ環境に適応する過程であると同時に、より主体的に、 特定の知識やスキルを獲得しようと取り組む行為でもある。 そして、「教える」人が介在することで、学びが促進され、また逆に「教える」ことで 「学ぶ」こともある。学ぶ・教える場は学校に限られず、家庭、地域コミュニティ、就業、 日常的な他者との相互行為など、様々な場が想定される。本書では実験、フィールドワーク、 ドキュメント分析、統計分析、比較研究、臨床的アプローチといった様々な人間科学の領域から 「学ぶ・教える」に切り込むことで、人間の本性を理解するための多面的な見方とその魅力を提示する。...
  • シリーズ人間科学 5 「病む」
    (出版:
    「病む」にまつわる人間科学の各アプローチにより、人間と人間社会にとっての普遍的な問題としての 「病むこと」の意味を見出す。医学、哲学、霊長類学の立場から病むことの意味、生きることとの 関連について論じた上で、臨床心理学、臨床哲学、社会福祉学、医療人類学の立場から様々な治療や 癒やしの制度について、それらが「病」や社会にとって持つ意味について論じる。 さらに、人類学と社会学の立場から、「病むこと」と社会の間に生じる様々な関係、社会における 「病気」の意味について論じることで、「病むこと」とそれに向けられる社会制度と社会のまなざしが、 人間社会における普遍的で不可分な重要性をもつことを明らかにする。...
  • シリーズ人間科学 6 「越える・超える」
    (出版:
    私たちの日々の暮らしは、思い通りにはならない「儘ならない」出来事とものごとで溢れている。 教育哲学、臨床死生学、老年行動学、臨床心理学、ボランティア学、宗教学、人類学・・・ 儘ならない世界を前にして、我々はどのように折り合いをつけていけばよいのか。 人と人あるいは共同体どうしの間の境界を「越えて」協働することで、また、人力や人知を 「超えて」いくことで何とか生きていこうとする人間の奥深さや多様性、そして、 そうした人間を主題とする人間科学の研究の幅広さを提示する。...