REPORT 第4回 未来共創センターOOSシンポジウム

2022/03/23(Fri) - 08:00
日時 2022年3月7日(月)
場所 オンライン(Zoom)での開催
主催 大阪大学大学院人間科学研究科 附属未来共創センター

プログラム

  • 【開会挨拶】:臼井伸之介(大阪大学人間科学研究科長)
  • 【第⼀部】OOSによる共創の取り組み
    「⽇本酒『緒⽅洪庵』と、えひめ南予きずな博」⼈間科学研究科 教授 川端亮氏
  • 【第⼆部】新規OOS協定先の紹介
     o ⼤阪トヨタ⾃動⾞㈱ 経営企画部 主査 安⽥幸博⽒
     o 吹田市社会福祉協議会 地域福祉課主幹 新宅太郎⽒
     o 一般社団法⼈パースペクティブ 代表 松⼭幸⼦⽒
  • 【第三部】未来共創ワークショップ ”気候変動”と”コロナ後の社会”を考えよう!
  • シンポジウム総括 附属未来共創センター⻑ ⼭中浩司

参加者

 企業・NPO・自治体・大学教員や学生を含めて50名程度

人間科学研究科長からのご挨拶

内容

 第一部では大阪大学人間科学研究川端亮教授より「緒方らぼ」における取り組みの報告がなされました。「緒方らぼ」とは酒造再生を中心としたまちづくりのプロジェクトであり、大阪大学を中心に愛媛県西予市野村町の野村地域自治振興会や愛媛大学社会共創学部と共に西日本豪雨によって被災した緒方酒造の「緒方洪庵」を復活させることに取り組みました。本来であればよそ者である大阪大学が仲介立ちすることによって、地区内での様々な協働が生まれることになった過程を川端教授より報告を頂きました。川端教授の発表を受けて、野村町地域自治振興会様より「これまでの活動をさらにパワーアップさせて、今後も活動続けていきたい」というコメントを頂き、そして、川端教授と共に緒方洪庵の復活に携わった佐藤功教授からは「今回のプロジェクトでは教員側も学内で新たな関わりを築くことができたが、学生たちも野村町の人々と関わることで、当事者意識を理解することができるようになった。」と今回の活動を通じて学生にも大きな学びがあったとのコメントを頂きました。

第一部の川端教授のご発表

 第二部では新たに協定を結ぶことになった3団体より協定に基づく取り組みが紹介されました。最初に大阪トヨタ⾃動⾞株式会社の安⽥幸博様より「防災」をキーワードに大阪大学人間科学研究科の稲場教授の取り組まれている独立電源通信装置「たすかんねん」が大阪トヨタ⾃動⾞株式会社様の本社ビル屋上に設置されるまでの流れの報告を頂きました。次に吹田市社会福祉協議会の新宅様には大阪府北部地震をきっかけに大阪大学と様々な団体と共に吹田市災害ボランティアセンターが立ち上がった過程や、その後のコロナ禍における高齢者支援に関する活動、そして、グルーバルビジレッジ津雲台における住民のつながりに関する活動の報告をして頂きました。最後は一般社団法⼈パースペクティブの松山様には貴団体が運営されている「工藝の森」と大阪大学との関わりについて紹介をして頂きました。「工藝の森」では森を起点に森づくりとモノづくりの両方に関わりながら、様々な人々を巻き込んでいく活動を展開しています。その中で知の共創という視点から大阪大学のエスのグラフィーラボがマテリアルフロー調査やデザイン人類学的教育プロジェクトなどを共同で展開しています。

第二部での協定企業様のご発表

 第三部では参加者全員が「気候変動」と「コロナ後の社会」という二つのテーマでてワークショップを行いました。ワークショップに先立って森田敦郎教授より「気候変動」に関する話題提供、渥美公秀教授より「ポストコロナ」に関する話題提供がなされ、学生がファシリテーターになって、6,7人の小グループに分かれてディスカッションを行いました。
 「気候変動」のディスカッションでは温暖化ガス削減のために環境負荷の少ない技術や新しい技術の活用が挙げられました。また個人の努力だけでなく、様々な国や団体による協働で取り組む必要性が指摘されました。「ポストコロナ」のディスカッションではコロナによってICTの活用が促進された一方で、使える人と使えない人との間の格差も現れたために、それをいかに解消できるのかが重要であるとの意見が挙げられました。

第三部でのディスカッションの様子

 最後に附属未来共創センター長の山中浩司教授が総括しました。本シンポジウムでは、「つながり」の重要性が改めて認識できたとともに、あまりにも社会が様々な形でつながっているために、何か動くと他の何かに影響を与えてしまうという難しさを言及しました。そして、「つながり」の反対として「こもる」という言葉を提示し、様々なつながりがある社会の中において、こもって自分自身を見つめ直すことの重要性を指摘しました。最後に次期センター長に就任予定の村上靖彦教授の紹介と挨拶があり、閉会としました。

(文責:大川ヘナン)