若い世代と一緒に外国にルーツのある子どもたちの新しい支援を

2022/03/23(Fri) - 08:00

NPO法人おおさかこども多文化センター:

理事長 濵名猛志 様/副理事長 村上自子 様/事務局長 橋本義範 様

インタビュアー:人間科学研究科博士後期課程 大川ヘナン

 NPO法人おおさかこども多文化センター(通称:オコタック)さんは、現在外国にルーツを持つ子どもたちの包括的な教育支援を展開しており、サタデークラスでの日本語・学習支援教室や様々な研修会、教育相談事業(22年3月27日大阪大学未来共生イノベーター博士課程プログラムと共催で「外国人家族のための進学相談会」もその一つ)などを行っているNPO法人です。OOSとの事業では人間科学研究科附属未来共生センター特任教授の榎井縁先生と共に外国にルーツを持つ子どもたちへの支援を展開していらっしゃいます。今回はオコタックさんの理事長の濵名さん、副理事長の村上さん、そして、事務局長の橋本さんにインタビューを行いました。主にOOS協定を結んだきっかけや、今後の協働について話を伺いました。

写真1
サタデークラス
毎週土曜日の学習支援教室で、日本語や学習支援をしている場面

大阪大学とOOS協定を結んだきっかけは何でしたか?

 最初のきっかけは山本晃輔先生(当時、未来共創センター講師)との話の中で、「公立の学校でITを活用して、外国ルーツの子どもたちを支援する方法はないか」というところから始まりました。オコタックにはITの活用に関する経験が乏しく、大阪大学の力を借りることで、何か協働でできないかということになりました。そこでオコタックの方で「この学校ならこんなのができる」というのをピックアップして、2020年の1月に府立高校で「ITCの遠隔授業の試行」ということをやりましょうということになりました。オコタック側では学校との調整を行い、機材に関する知識がなかったので、それは大阪大学に任せるという形になりました。それはちょうど新型コロナが流行り始める直前でした。その取り組みの後に「いろんな知恵を借りながら、新しい取り組みができる」プラットフォームが大阪大学オムニサイト協定であるという話を頂いて、それだったらオコタックも参加をしようという話になりました。」

写真2
えほんのひろば 世界の文字体験
世界の文字で子どもたちが自分の名前を書いてみる体験。
外国出身の高校生たちが優しく教え、親子で楽しんでいる場面。

今後オコタックさんはどのような展開を考えていますか?

 「オムニサイト協定を結んだ直後に新型コロナが急激に広まったこともあり、オムニサイトを冠した企画はできていませんが、大阪大学とは様々な活動は実施しています。その一つが夜間中学校への見学会がありました。こちらの企画は榎井先生と岡部先生と一緒に実施しました。これからの展開としては大阪大学の若い方々とより繋がっていきたいというのがあります。我々には外国につながる子どもたちと関わるノウハウやネットワークは持っていますが、それをなかなか社会に広められずにいます。ですので、大阪大学の若い方々のパワーを借りながら事業を展開したいという思いがあります。現在、東京などで若い当事者の方々によって立ち上げられた新しいタイプのサステイナブルなNPO法人があります。それは当事者目線からの支援や新しいテクノロジーを活用しながら展開しているという特徴を持ち、我々の団体とは違う形で育っています。そのような展開を大阪大学の若い方々と一緒にできればと考えています。」

今後はOOS協定でどのような取り組みを期待されていますか?

 「OOS協定では様々な企業団体が集まっています。そこで私たちの外国につながる子どもたちへの活動と同じ理念を持つことができる企業・団体と繋がりたいという気持ちがあります。我々はこれまで狭い範囲で活動を来ましたので、我々の理念に共鳴し、我々にない力を持っている企業・団体と出会いたいという気持ちはあります。」

 今回のオコタックさんの方々とのインタビューの中で印象的だったのは「若い世代を巻き込みながら、新しい形で外国にルーツを持つ子どもたちの支援を広げていきたい」という思いを強く感じました。オコタックさんのこのような強い思いを大阪大学の学生や企業・団体と結びつけることができれば、より新しい形の活動が展開できるのではと楽しみに感じました。今回のお話はありがとうございました。


*掲載写真は全て新型コロナが流行する前の写真となります。


(文責:大川ヘナン)