REPORT 2023年7月28日、大阪大学人間科学研究科にて大阪大学ユネスコチェアMeW (ミュー)プロジェクトは、タマパック株式会社、並びに株式会社日本電商と「大阪大学オムニサイト(OOS)」協定の調印式を行いました

2023/07/28(Fri) - 08:00

 タマパック株式会社は、パッケージメーカーとして、印刷紙器、段ボールケース、その他の包装資材の製造販売や製造資材の輸出入等の事業を展開されています。株式会社日本電商は防災防犯や住宅設備に関わる電設資材・設備機器の卸売をされています。このたび二社同時に大阪大学オムニサイト協定を結ぶ運びとなりました。

写真1

 2023年7月28日大阪大学人間科学研究科にて協定関係者、学生と教員、人科の事務職員、大阪大学ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)センター教員が揃い、調印式が行われました(写真1)。大阪大学人間科学研究科 未来共創センター 現副センター長の杉本めぐみ准教授から開会の宣言があり、大阪大学人間科学研究科研究科長渥美公秀教授よりOOS協定を結ぶことによる社学共創の促進及び、協定先同士がまた連携していくことの期待を述べられました(写真2)。

写真2. 調印

 つづいて、Mew(Menstrual Wellbeing by/in Social Design)プロジェクトを率いてこられた大阪大学人間科学研究科 杉田映理教授から、協定にあたっての経緯や展望を語られました(写真3)。

写真3. MeWプロジェクト代表杉田先生

 「国際的には10年ほど前から、月経対処が個人ではなく社会の課題だという認識がされはじめまして、今やグローバルな課題となっています。日本でもコロナ禍で「生理の貧困」が、社会課題と認識されたのは記憶に新しいかと思います。
 ディスペンサー開発の検討をする中で、設置しやすいこと、例えば壁にかける機能や、学校や被災地などでの利用後の廃棄の問題を考えると、ダンボールが良いだろうということになりました。またとても重視したのが、生理用品に選択肢があることです。ナプキンは2種類、タンポンを1種類入れることで自分の体と向き合うチャンスにもなるということで選択肢があるところを重視して、この形がいいなということになりました。
 ダンボール会社さんを大阪内でいくつかあたらせていただいた時に、HPなどを見て、タマパック様が良いなということになりまして、意気投合し、ディスペンサーを今の形にするには一緒に試行錯誤を繰り返しました。
 最初、人間科学研究科内で設置したところ、単に便利というよりも『寄り添ってもらっている感じがする。』という反響があり、全学に広げたいということになりました。そしてダイバーシティ&インクルージョンセンターのご協力のもと、大阪大学の全キャンパスで導入になりました。
 現在は約35の団体で1700から1800台が設置されています。もっと広げていくにあたってハードルを感じている中で今年の春、日本電商さんからご連絡をいただきました。生理用品ディスペンサーのトイレ内での普及をご検討されていることを伺い、一緒にやらせていただきたいということで、本日に至りました。
 本日、署名という形で関係性が結ばれることで、月経のある人のウェルビーイングの向上に向けて協働し、ひいてはそれが社会のウェルビーイングの向上にもつながるというふうに私たちは考えております。OOS協定で今後私たちの取り組みが推進されていくことを確信しています。本当に今日はありがとうございます。」


また各代表から、以下のような所信表明をいただきました。


タマパック株式会社執行役員 北村公宏 様
 「お招きいただき感無量です。我々の仕事は、皆様が頭の中で描いたものを、実際形として作るということだと痛感しております。思うものを設計図には描けても実際それが完成したものになるかというのは、一番難しいところです。実際いろんなお客様からご要望があった時に、いかにお客様のご要望にほぼ100%近いものを作って形にするかが仕事だと考えています。ダンボールのエコという強みを活かして、環境問題とか、はたまた震災の問題とかに対応して、ダンボールのベッドとか、コロナでのパーテーションとか、簡易トイレをダンボールで開発を進めていますし、今後も皆さんとご一緒にいろんなものがご提供できれば、より良い社会に貢献できると考えておりますので、今後ともどうぞよろしくお願いします。」(写真4)

写真4. タマパック株式会社

株式会社日本電商代表取締役社長 山中一晃 様
 「4年前社長に就任するときに、SDGsを会社の経営方針に取り入れました。商売をする上で、お客さんも仕入れ先ももちろん弊社の方も、全てがよしという考え方。これにプラス、世間良し。この「三方よし」の精神を取り入れたいとした時に、世間に対して何ができるのか、と考えたときに「生理の貧困」という問題が出てきました。まずは自社で取り入れてみようということで日本電商のトイレの中にはこのディスペンサーを設置しております。もちろん、無償でトイレットペーパーと同じような形で誰もが使える状態にしております。
 学生の方々はコロナの3年間、もやもやした期間を過ごしたのではないでしょうか。そのような中でも一歩一歩このような形で着実に製品化して販売網を着実に増やし、世間良しという考えた方のもと、進まれていったことに甚だ感服している次第でございます。今日は調印式後にも皆さんとの交流の機会があるともお聞きしておりますので、いろんな当時の話も聞かせてもらえたらと思います、本日はありがとうございました。」(写真5)

写真5. 株式会社日本電商様

 会場には、MeWプロジェクトの学生メンバーや支援してきた事務職員、D&Iセンターからも含め多くの女性の方にご参加いただき、これまでにない雰囲気の調印式になりました。(写真1)
 最後に、未来共創センター長の人間科学研究科村上靖彦教授より、協定締結の感謝とともに、MeWプロジェクトの取り組みが社会実装に至ったことの重要性と今後協定先同士でより良好な関係性を持つことへの期待を述べられ、調印式は締め括られました(写真6)。

写真6. センター長

リサーチアシスタント:西村尋

参考:プレスリリースURL: