実施日時 |
2024年5月19日(日) 13:00~16:30 |
参加者数 | 日本人学生、留学生など21人 |
実施内容
2024年5月19日(日)、大阪大学吹田キャンパス人間科学部棟東館E207にてワークショップ「日本の入管問題の現在」を開催した(運営:中谷碩岐、瀧口隆、Héctor Uclés)。本イベントは、日本の入管問題を扱ったトーマス・アッシュ監督の映画『牛久』(2021)の上映会を実施することで、日本の入管問題の現状を知る機会をもつことを目的とするものであった。また上映会後、参加者同士でこの問題について議論を交わすことで、この問題に関する相互の見解を共有した。
日本の入国管理センターにおける難民申請者への不適切な対応は、とりわけ2021年3月に起こったスリランカ人女性ウィシュマ・サンダマリさんの死亡事件以来、大きな注目を集めている。『牛久』は在留資格のない外国人、難民申請が認められず国外退去を命じられた難民申請者を“不法滞在者”として強制的に収容している施設の一つである「東日本入国管理センター」(茨城県牛久市)を舞台として、入管に収容された当事者たちの証言を撮影した映画である。彼・彼女らの現状や肉声を施設の外に届ける機会がほとんどないなか、厳しい規制を潜り抜けて隠しカメラで撮影された本作の上映会は、参加者と運営の双方にとって貴重な機会であったように思われる。
(詳しくは、HP(https://www.ushikufilm.com/introduction/)を参照)。
プロジェクトの考察
今回のイベントの開催にあたっては、題材が国際的な問題であることを考慮して英語版のポスターを作成した上で、Héctor Uclés氏の協力を得て留学生に向けた広報も積極的に行い、当日は留学生にも多く参加して頂くことができた。その成果もあって、週末かつ対面限定での開催であったにもかかわらず、当日は雨の中20名以上の来場者を迎えることができた。
上映会は滞りなく終了し、後半のディスカッションでも、英語と日本語の双方を交えて活発に議論が行われた。自分のコメントを日本語/英語で述べた後、それを英語/日本語に即興で翻訳するという難易度の高い形式を取らざるを得なかったにもかかわらず、日本人学生と留学生の双方が積極的に発言し、質問者が言葉に詰まる場面においても他の参加者がパラフレーズ、代理翻訳を行うなど、議論が白熱しつつも終始和やかな雰囲気で進行し、日本の法制度や警察権力の問題点、移民を受けいれているヨーロッパや北米の現状との比較、移民による日本と外国の文化の違い等の多岐にわたる論点について、生産的な議論を行うことができたように思われる。
主催としては、開催前は参加者が集まるか不安であったものの、潜在的には関心のある方が多く存在することを知り、励まされる思いだった。今後も社会課題に関する学生プロジェクトを継続して開催していきたいと考えているが、その際にも広報の仕方等を工夫することによって情報を広く届けていくことを心掛けたい。
① 当日の様子
② ポスター(英語版)