REPORT【学生プロジェクト】野田村村民意見交換会

2026/07/01(Wed) - 10:00
実施日時 2026年06月27日(土)16:30〜17:30
参加者数 野田村役場職員、村民、前村長等、計12名
企画者 米田沙由葵、内山志保
実施内容

2026年6月27日(土)、岩手県九戸郡野田村のプチよ市に「野田村村民意見交換会」を開催した。プチよ市とは、東日本大震災後から野田村で月に一度、土曜日に開催されている夜市である。本意見交換会は、岩手県野田村横合地区を対象に、「地域の活性化とは何か」について野田村の住民と意見交換を行うことを目的とするものであった。昨年度までに申請者らが授業や自主的な研究活動を通じて実施したインタビューおよびアンケート調査の結果を土台としつつ、学生側が一方的に成果を報告するのではなく、村民自身の経験や意見を聞き取りながら、地域にとって必要な活動や関わり方をともに考える場として企画した。
 本プロジェクトでは、事前に野田村役場との打ち合わせを行い、これまでの調査結果を踏まえてプチ夜市にブースを出展した。ブースでは、村民が気軽に立ち寄ることのできる対話の場を設け、靴下のはぎれを用いた輪っか編みサロンやアジア民族造形館について意見を交わした。特に、輪っか編みが沿岸地域から山間地域である横合地区へと広がり、各集落で独自に発展していった経緯や、アジア民族造形館について、展示内容だけでなく施設そのものが地域にとってどのような価値を持つのかについて話し合った。これらの対話を通じて、横合地区の人びとが営んできた生活や日常的なつながりをどのように継承していくかが重要な論点となった。

プロジェクトの考察

今回の意見交換会は、開催日および場所をプチよ市に合わせて実施したことには2つの効果があった。1つは立場の異なる多様な参加者の方々が、通常の会議室等で実施するよりも開放的な雰囲気で意見を出し合うことが出来た点である。もう1つは、開催前にプチよ市に足を運んだ方々や、プチよ市に出店している方々に、研究成果のまとめ資料を配布し、会場には大阪大学学生と野田村村民との意見交換会を実施中である旨を掲示することで、直接意見交換会に参加されない方にも、大阪大学の学生が野田村横合地区の生活文化に関心を寄せ、研究テーマとして取り組んでいるということを知っていただくことが出来た点である。当日はプチよ市とは別に、隣接している普代村と野田村が連携した屋外イベントも実施されていたこともあり、普段のプチよ市よりも、一層幅広い層の人々に興味を持ってもらい、お声かけをいただくことができた。
 意見交換会では、横合地区で継承されてきた輪っか編みは、非常に質の高い作品を生み出していながら、それを商品として売り出すことはせず、あくまでも自分たちの楽しみのために活動が続けられていることの価値について議論がなされた。背景には、横合地区には自分たちの手で工夫して創り出したものを、お互いにあげたり、もらったりし合うことが習慣として根付いているという意見が出された。また作品そのものよりも、人々が集まり、輪になって座りながら共に時間を過ごすという事に価値があるという考察がなされた。
 アジア民族造形館については、展示施設としての利用から、地域の暮らしを記憶にとどめる南部曲り家の建物と景観自体の価値が議論された。実際に南部曲り家で生活をしてきた経験を持つ村民から、茅葺き屋根をどのように維持してきたのかが語られ、現在は無住状態となっている建物を維持することの難しさも改めて確認された。これまでは横合地区内の互恵関係で維持されてきた茅葺屋根を村としてどのように価値づけていくかについて様々なアイディアが出された。その中で、今回の意見交換会のように、地域外からの働きかけが重要な意味を持っているという意見が出された。
 今回の意見交換会を通じて確認された、横合地区の人々が受け継いできたお互いを気遣い合い、自分たちで生活上の工夫をしながら暮らすあり方は、野田村の魅力となっており、私たちのような学生が何度も野田村に足を運びたくなる要因にもなっている。一方で、野田村全体の人口に占める横合地区の人口は少なく、今回テーマとして取り上げた輪っか編みの活動や、アジア民族造形館について、詳しく知らない村民も多かった。今回の意見交換会をプチよ市を会場としたことで、よ市に訪れた村民の方に当日お声かけをして飛び込みで参加していただくことができた。また、参加されない方からも「なぜ大阪から?」「何をしに来ているの?」というようなご質問をいただくことができたことは大きな成果であったと考える。地域外から関わる学生は、これまで横合地区について関わりが少なかった村民が、地域の中の価値あるものをいかに維持していくかという議論に加わるための、媒介となることが重要であると感じた。

野田村村民意見交換会の様子

(文責:米田沙由葵、内山志保)