REPORT【IMPACTセミナーシリーズ】「Diversity & Inclusion」多様性によるイノベーション 実施報告

2023/07/18(Tue) - 16:00

実施報告

日時 2023年 6月27日(火) 15:00-17:00
場所 大阪大学大学院人間科学研究科 ラーニングコモンズ
主催 大阪大学大学院人間科学研究科 附属未来共創センター・IMPACT

プログラム

  • 挨拶:
    1. 渥美 公秀(大阪大学大学院人間科学研究科・研究科長)
    2. 村上 靖彦(附属未来共創センター・センター長)
  • 趣旨説明: 稲場 圭信(大阪大学大学院人間科学研究科・教授)
  • 【①講演: 生き方、これまでの挫折や困難をどう乗り越えてきたか】
  • 【②ワークショップ: グループワーク ダイバーシティ/インクルージョン】

開催趣旨

6月27日に人間科学研究科ラーニングコモンズにて、大阪大学大学院人間科学研究科附属未来共創センター IMPACT セミナーシリーズ「Diversity & Inclusion 多様性によるイノベーション」を実施しました。

多様な価値観や生き方を認め合う共生社会の構築のために、難聴者や障害者が置かれている状況を知り、 当事者から学び、考えるため、牧野友香子氏を招き、講演及びワークショップを行いました。

講師: 牧野 友香子 氏(株式会社デフサポ)
生まれつき重度の聴覚障害があり、読唇術で相手の言うことを理解する。地域の学校に通い神戸大学に進学、 一般採用でソニー株式会社に入社。第1子に50万人に1人の難病があり、 育児中にさまざまな選択肢の少なさを経験したことをきっかけに、株式会社デフサポを立ち上げ、 聴覚障害児の親への情報提供、ことばの教育を実施。また一般の人に難聴を知ってほしいと YouTube 「デフサポちゃんねる」(10万人登録)を始める。
株式会社デフサポのサイト: https://nannchou.net/

当日の様子

当日は、飛び入り参加された方もおり、想定を上回る40名ほどの方にご参加いただきました。 ご参加されたみなさま、当日はありがとうございました。

写真:渥美研究科長挨拶の様子
渥美研究科長挨拶の様子
写真:村上センター長挨拶の様子
村上センター長挨拶の様子
写真:稲場教授による趣旨説明の様子
稲場教授による趣旨説明の様子

【①講演: 生き方、これまでの挫折や困難をどう乗り越えてきたか】

前半の第1部では、牧野氏より、ご自身の経歴と、ライフステージごとにどのような問題解決を行ってきたか、起業された経緯について、お話いただきました。

写真:講演の様子
講演の様子

【②ワークショップ: グループワーク ダイバーシティ/インクルージョン】

後半は、まずクイズを交えながら、聞こえなくて困ることについてお話いただきました。 その後、4つのグループに分かれ、「耳が聞こえない人が大学で困っていることはどんなことがあるか」 を各グループで出し合い、その後、その問題解決をするにはどうしたら良いかを考え、グループごとに 発表を行いました。

写真:グループワークの様子①
グループワークの様子①
写真:グループワークの様子②
グループワークの様子②

スタッフの感想

今回、院生スタッフとして参加させていただきました。自身の研究でもハンディキャップについて扱っていることもあり、 研究する上でも今後社会で生きていく上でも大切な気づきを得られた貴重な機会となりました。

当事者である牧野様は、明るい口調で時折ユーモアを交えながらお話されていましたが、私を含め共生について学び、 研究している参加者としてはハッとさせられる瞬間が多い内容だったと感じています。

特に印象に残っているのが、「どのような配慮が適切かは本人に聞くことが大切であり、 またどうしてほしいのかを本人が伝えやすい環境を作ることが大切だ」というお話です。 「耳が不自由な人は手話を使う人が多い」「読唇術を使う方に対しては、ゆっくりはっきりと話したほうが良い」など、 悪意なく誤った認識を持っていたことに気づきました。

後半のグループワークは、「聴覚障害者が大学生活で困ること」と「それはどうやったら解決できるか」という内容でしたが、 大学生活という括りがあったとしてもひとそれぞれ多様な生き方があり、それに伴って障壁になる事柄が数多く出てきました。 これを社会全体に広げると、壁となる事柄もその対応も無限に多様化していくと思います。

前半の牧野様のお話も踏まえて、他者の視点から想像することの大切さと、想像には限界と誤りがつきものだからこそ、 本人から話を聞く必要があるということを実感しました。

(共生社会論・稲場研究室 M2 辻 和花)