実施報告
日時 | 2023年 11月14日(火) 16:50-18:40 |
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場所 | 大阪大学大学院人間科学研究科 キャノピーホール |
主催 | 大阪大学大学院人間科学研究科 附属未来共創センター・IMPACT |
開催趣旨
多様な価値観や生き方を認め合う共生社会の構築のために、OOSパートナーの共和メディカル株式会社の実践、重度障がい者の取り組みから学ぶ。もしもの時のために、自分自身が望む医療やケアについて考える。
プログラム
挨拶:渥美 公秀(大阪大学大学院人間科学研究科・研究科長)
趣旨説明: 稲場 圭信(大阪大学大学院人間科学研究科・教授)
内容:
① 共和メディカルの社会的取り組みの紹介
② 分身ロボット「OriHime」による遠隔参加
③ もしバナゲーム(ワークショップ)
講師紹介
・杉浦 万正 氏 共和メディカル株式会社 代表取締役社長/グローバルビレッジ津雲台まちづくり協議会 代表理事
共和メディカルは地域密着の医療グループ(医薬品卸、薬局、訪問看護、ケア プランセンター、みんなの保健室、飲食等を運営)。日本が直面する超高齢社 会到来をふまえ、地域包括ケアや地域共生社会実現の一助を担いつつ、地域全 体の健康増進に医療者がどう貢献していくべきなのか、試行錯誤を続けている。
・⼭﨑 拓弥 氏 ⽇本で初めて企業と雇⽤契約を結んだオリヒメパイロット
1986年4⽉30⽇⽣まれ、島根県松江市在住。2015年に事故で脊椎損傷、⾸から 下が動かず寝たきりとなる。2019年に共和メディカルと雇⽤契約を結び、 OriHimeを使っての広報・講義・接客業務などを担当している。
・前⽥ 章⼦ 氏 あかり訪問看護ステーション 保健師・看護師・もしバナマイスター
⼤学卒業後、⾼度急性期病院・地域医療⽀援病院で3年 間働き、退職。その後、⼦育てのため仕事を離れクリニックで再就職。資格 を取得し、介護⽀援専⾨員(ケアマネジャー)として働く中で訪問看護と出会い、あかり訪問看護ステーション勤務。
当日の様子
当日は、人間科学部学生を中心に、本学他学部生、本学教職員、学外社会人等50名ほどの参加がありました。
渥美研究科長の挨拶、稲場教授による趣旨説明の後、杉浦氏から超高齢化社会を迎える現代日本の課題と、共和メディカルグループが目指す「共和流 地域包括ケアシステム&地域共生社会」や、大阪大学も参画している「グローバルビレッジ津雲台」の理念や具体的取り組みについてご説明いただきました。
次に、分身ロボット「OriHime」のパイロットとして日本で初めて企業と雇用契約を結び、共和メディカルが経営する店舗のスタッフとして働いている山崎氏に遠隔参加いただき、寝たきりとなってから、現在にいたるまでの経緯を、「OriHime」の遠隔操作による身振り手振りを加えながらお話いただきました。
最後に、前田氏のファシリテートにより、「OriHime」による山崎氏の遠隔参加も含め、参加者全員で「もしバナゲーム」を実施しました。「もしバナゲーム」は、余命がわずかであるという想定のもとで、「家族や友人とやり残したことを片付ける」「尊厳が保たれる」などの文言が書かれたカードを手元に残したり、捨てたりすることで、最後に何を大切にしたいかを考え、家族や友人などと共有することができるゲームで、4人1組のグループに分かれて実施しました。ゲームの最後に、なぜそのカードを手元に残したのかを発表し、話し合いました。
写真:渥美研究科長挨拶の様子
写真:稲場教授による趣旨説明の様子
写真:杉浦氏による講演の様子
写真:「OriHime」を介した山崎氏の遠隔参加の様子
写真:前田氏による「もしバナゲーム」の様子
写真:前田氏による「もしバナゲーム」の様子
感想
セミナー後の参加者アンケートでは、「重度の障がいを待つ人でも、遠隔で社会に参画できるというのは本当素晴らしいことだと感じた」「活かせていない才能や能力がまだまだ世の中にはあるのだろうということを改めて感じた」「ゲームを行う中で、グループメンバーから様々な価値観や考え方を学ぶ事ができた」「どのような死に方がしたいか、もし明日から働けなくなってしまったらどうするかなどを今からちゃんと話しておきたいと強く思った」などの感想が寄せられました。
全体を通して、誰もが自分らしく社会参加することができ、多様な価値観や生き方を認め合う共生社会の構築について考えを深める機会になりました。講師の先生方、参加者の皆様、どうもありがとうございました。