臨床教育学講座

人間形成と教育を科学的に探究する


教育学系の教育・研究が目指しているのは、さまざまな社会的場を通して行われている人間の教育=学習活動を、生涯にわたる人間の成長発達と多様な生活関連を基本的な視軸として解明し、合理的でかつ人間的な教育=学習組織のあり方を考究することです。現代のように社会の仕組みが複雑となり、日常生活が変化に富むものになってくると、伝統的な制度の枠組みあるいは固定的な人間観によってこの課題に応えていくことはできず、人間の多様な側面を視野に収めた学際的なアプローチが必要になってきます。現代の教育学研究には、そうした諸々の学問分野と積極的に交流し、そこから生み出される多様な知見を総合し、体系化して、新しい人間の生き方あるいは新しい社会のあり方とい う観点から提示することが求められています。
臨床教育学講座は、「教育環境学講座」とともに教育学系を構成し、主として個人一人ひとりの成長発達に焦点を合わせた、理論的、実験的、臨床的、実践 的研究を行っています。本講座には、 教育人間学、人間変容論、教育工学、教育心理学、臨床心理学 の5つの研究分野があり、教育知の歴史的人間学的解明、学習環境のデザインや先端的情報技術を利用した教育・学習システムの開発、個人の情緒的・社会的発達のつまづきと回復に関する実践的研究、さまざまな心理的問題の発生と克服過程に関する実証的研究ならびに臨床実践など、それぞれにユニークでかつ互いに関連性を含んだ研究テーマの下に、型にとらわれない教育・研究活動を行っています。
現在の日本では、本格的な少子高齢化社会が到来し、生活の国際化や、情報化も急速に進んでいます。人間の成長発達に関わる教育=学習の課題は、これまでにない問題の広がりを見せています。本講座では、そうした現代的な課題に対して、人間科学の観点から理論的かつ実践的に関わることのできる人材の育成を目指しています。


臨床教育学講座

*教職課程担当