薬草園における地球と身体のループ
Planetary Healthという共生の方へ

日時： 2019年5月30日（木） 15:00～16:30

場所： 大阪大学大学院 人間科学 研究科
北館2F ラーニングコモンズ

講師： モハーチ・ゲルゲイ　准教授

人類は多種多様な動植物と共にこの惑星を生き、その未来を共に創っていきます。しかし環境問題が顕在化する中、人間の活動が地球の気候に与える影響は、こうした生態人類学が追究してきた相互関係を根本的に変えつつあります。食糧不足から大気汚染まで、地球全体の健康と人間の健康の間の切っても切れない関係性を無視できない時期に来ているとも言えます。

医療の領域では、このような時代性を検討する試みにおいて、近年「planetaryhealth」という概念が注目を集めています。本発表では、西日本と北ベトナムでの比較民族誌的な調査から、創薬における人間と植物の相互構成の事例を踏まえ、「planetary health」に関する論争が人間科学にもたらす展開を考察し、さらに共生学としての応答の可能性を探究していきたい。

薬草園を現場とする人類学の研究は、人間の健康が、地球と私たちの身体を他の生き物たちと共に生きるなかでこそ保たれていることを常に思い出させてくれます。したがって、本発表ではplanetary health」におかれた知を追求できる特殊な場所である薬草園について紹介します。