文化社会学

公共的な社会を創造する

文化社会学

※「文化社会学」研究分野は2026年度から「公共社会学」研究分野に改編予定

「文化社会学」研究分野では、社会学的な観点からさまざまな文化現象とコミュニケーション、社会関係を研究してきました。2026年度からは、文化・社会とその社会学的知の公共的なあり方を考えることをめざして、「公共社会学」研究分野に再編・名称変更します。人と人とが織りなす公共的な社会のありようを、親密な世界との関係を常に意識しながら考えるのが、この研究分野の特色です。研究対象には、家族、地域コミュニティ、都市、福祉、人権、犯罪、政治、市民社会など、幅広い領域を扱います。研究のアプローチにも、社会学理論をベースとしつつも、福祉理論、政治理論など、多彩な理論が用いられます。インタビューをはじめとする質的方法だけでなく、質問紙調査の量的方法も活用するなど、理論と方法の横断性がこの研究分野の特徴です。

【研究課題】
■ 政治社会学、地域・都市社会学、社会政策、現代政治理論、犯罪社会学、生命倫理学、人権理論と実践、家族社会学、福祉社会学

日本国内の大都市、地方都市、農山村だけでなく、東アジア諸国の都市・地域も視野に入れて、都市空間のマクロな構造変動から、ローカル・コミュニティの生活世界の変化まで、私たちが生きる現代の都市・地域の変化の諸相を、社会学の視点と方法によって明らかにする。特にそこでの政治・行政、ガバナンス、市民社会のありように関心をもっている。研究方法は、フィールドワーク、インタビュー、質問紙調査とその統計的な分析、計量テキスト分析など、必要に応じて社会調査の諸手法を組み合わせた混合的なアプローチをめざしている。(丸山)

現在の社会的変化を背景に、今後の福祉システムと仕事をめぐる制度のあり方について考察する。正義論、平等論、ケアの政治理論、デモクラシー論など、制度を方向付ける価値の検討を軸とし、具体的な社会問題や事象を批判的に捉える視点として採り入れる。ケアの編成、仕事の正義、世代間の関係、仕事や福祉生産の現場における当事者参加と制度変革など、幅広く研究対象とする。(遠藤)

不平等、社会正義、紛争、ガバナンスと人権との関連性を検証し、人権が問題となり実践される意味のコンテクストに焦点を当てる。特に、日本の社会運動から生まれる人権言説を実証的に探求し、なぜ人権を法的・哲学的分析に還元できないのか、21世紀における人間のウェルビーイングの保護・促進という重要なプロジェクトに社会科学的アプローチがどのような貢献ができるのかを議論する。また、文化帝国主義や文化相対主義の問題を含め、人権と文化との関係、より具体的には、国によって人権に対する価値観が異なること、つまり、国連や欧米列強のような機関によって単一のグローバル・スタンダードを押し付けることができないことについても探求する。学生は、批評的かつ学際的なレンズを通して人権の課題に取り組むよう促され、世界における人権の定義、発展、濫用だけでなく、人権に影響を与える社会構造について理解を深めることが期待できる。(クロイドン)

家族をめぐる構造的変化の中で、子どものケアを親密圏と公共圏でいかに再編成できるかに関心がある。特に、小児期逆境体験(ACEs)の社会構造的規定要因、長期的影響とその保護要因の解明を目指し、全国規模の調査データによる計量的手法と当事者インタビューによる質的手法を組み合わせた混合的アプローチを採用している。家族という私的領域の問題を社会構造と接続し、公共的課題として可視化・提起する「公共社会学的実践」にも取り組んでいる。(三谷)

食や教育のグローバル化や森林産物の商品連鎖など、身近になる様々な社会的な事象の分析をとおして、ミクロな視点からマクロなレベルの権力関係と競合について考察する(石川)。

教員